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風変わりなものを指す「傾く(かぶく)」という俗語が流行した時代があった。社会が混沌とし、ちょっとふざけたものに人々がおもしろみを感じた時代。歌舞伎の誕生はそんな時代のことだった。

四条大橋のたもとで、現在の南座と北座を見据えるように舞を舞う、「阿国」の像がある。日本史選択者なら知っているだろう。出雲大社の巫女であったと言われる彼女は、今から四〇〇年前、四条河原で変わった舞を披露した。その舞を見た人々は、「かぶき踊りだ」とおもしろがった。現在の歌舞伎の原点だ。

しばらくすると、京都に国内初の劇場が許可された。南座・北座を中心として、祇園は舞台関係者や観客で賑わい、花見小路には一流の料理屋やお茶屋がずらずらと軒を連ねていった。そして客引きのため女歌舞伎のような見世物を始めた店から芸妓が生まれ、舞を舞う女性の低年齢化が進むにつれて、現在の舞妓が生まれたのだ。

その後庶民の間では、なんと目のふちに紅をさすメイクが流行したというから当時は歌舞伎役者がファッションリーダーだったのだ。

まず舞台ありき。歌舞伎の話抜きで、京の化粧史は語れないのである。
 


 
 


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