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桜と紅葉のシーズン、京都の寺社には観光客が殺到する。と同時に、[よーじや]のレジ前には、名物のあぶらとり紙を五冊十冊とまとめ買いする人たちで長蛇の列ができる。[よーじや]製品に限らず、京都みやげの定番であり続けているあぶらとり紙。しかしよく考えてみれば、なぜこれが京の名物であるのか不思議なものだ。
そもそもあぶらとり紙とは、金箔を作る際の副産物である「箔打ち紙」のこと。お公家さんの土地であった京都では、一流の調度品や工芸品、多くの寺社が作られたので、金箔の需要が高かった。金箔を運ぶ際に便利な包み紙として、箔打ち紙がたくさん京都に入ってきたのである。
箔打ち紙はそのうち、「顔を拭けば、風呂に入ったようにさっぱりする」との噂が広がり、「ふるや(風呂屋)紙」と呼ばれ始めた。ただの布ではうまく抑えられないテカリが取れるとは、画期的な発見だったのだろう。そんな中、京都に日本初の芝居小屋が誕生する。空調設備も充分でない時代、白熱する舞台ではどおらんのテカリがどうしても目立った。「ふるや紙を使ってみよう」。たちまちテカリ押さえとして舞台の必需品なったあぶらとり紙は、次第に舞妓・芸妓、そして庶民の日用品として京の街へと広がったのである。
「古くからの金箔の需要」、「舞台での必要性」、「舞台、花街、庶民の隔てなく、いいものを取り入れる街の性質」。この三つの要素が絶妙に一致したからこそ、あぶらとり紙は京都の名品として、ここに根付いたのである。
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