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「今の人は出かける時も、正面から見た自分しかチェックしないけどね。 他の人からは斜めとか横とか、違う角度の自分の方がよう目につくもんや。 頭の後ろまで神経を使えたら本物やね。」
グッズを紹介した次は、京都の花街の美を語る上では欠かせない、 髪飾りについても触れておこうと思う。冒頭は老舗かんざし屋のご主人の言葉だが、 この意識が流れていたからこそ、祇園の一流の舞妓・芸妓はどの角度からも可愛らしく見えるよう、頭の四方を華やかな花かんざしで飾りつけ、京女は後ろ姿でも上品な美しさを発揮する高価なかんざしを求めたのではないだろうか。
また、「むこうの大旦那は、奥さんのくしかんざしまで売りに出した」 と囁かれることは、 その家の経済状態の危うさを意味したと言うから、かんざしなどの装飾品がいかに高価で、 浪費を美とする花街に愛されるアイテムであったかがうかがえる。
愛らしいかんざしも祇園の町並みに映えるが、シンプルな紬を着た女性が京の街角で バラ斑(ふ)のかんざしをちょっと挿し直したりしていたら、それはたまらなく粋な風景だと思う。
着物を着る機会こそ少なくなれど、子供のあどけなさや、女性のシックな美しさは普遍的なものだ。七五三参りや結婚式などのお祝いの席で、京の町で愛された品々は今も息づいている。光り物にはない品格をかんざしに求めるのは、間違いではなさそうだ。
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