 私の仕事である織屋というのは、簡単にいうと帯づくりのコーディネーターです。西陣織というのはすべて分業制なんですよ。帯をつくるためには意匠屋、染屋、金糸屋、織手など工程ごとに細分化された仕事をひとつにまとめなければなりません。そうやって帯に必要な材料屋さんを司る専門職、それが織屋の仕事です。帯が一本できるまでに最低でも二十社くらい関わりますね。つまり完成までに二十人以上の職人がかかるのです。
帯を一本作ろうとなったら、まず私が帯の出来上がりをイメージすることから始まります。経糸(たていと)はこんな色で、横糸はこんな色でという具合に。それでまず図柄を図案家さんにこういう構図で書いてくださいってお願いして、それと同時に糸屋さんに糸を染めてもらう。構図が出来上がったらその図柄を紋屋さんにもっていって、例えばここは沈ませて、ここはふっくらと糸を渡らせて…といったような帯の設計図を作ってもらう。で、最終的に帯の設計図と糸がそろったら織手さんにそれを持っていく。流れを簡単にいうとこんな感じですが、織物に必要な経糸の長さと本数を準備する、織機に糸を通すというような細かい作業まで分業です。
こうすることによって、安いコストで高品質なものをつくることが可能になっているんです。また例えば金糸屋は金糸屋同士で技術や価格の競争をすることによって良いものが出来る。そういった形で数百年、西陣は技術の発展を続けてきました。
なにせ京都は都でしたから、昔からいろんな技術者が全国からやってきていたわけです。地域代表の職人たちですね。彼らがそれぞれの分野で最高の技術を発揮し、その力を上手く組み合わせるのが織屋の仕事であり、醍醐味ですね。
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