
私は今、自然に分解されやすい樹脂と、西陣織の生地とを複合させた素材を開発しています。それを用いて和傘を作ったり、装飾用のプラスチックを作ったりしています。こういうふうに、今まで築いてきた西陣の技術の土台をベースに、何か新しいものが開発できればと思っています。今やバッグや財布のメーカーとして世界中で愛されるエルメスやヴィトンも、元はといえば馬の鞍とか鍵のメーカーだったわけです。これらのメーカーが成功した理由は、鞍の技術が上手だったとか、すごくいい鍵を作っていたというように、元々の技術が素晴らしかったことではないかと思うのです。きちんとしたベースがあったからこそ花開いた。
だから西陣の技術が高ければ高いほど、百年後に違う世界で発展していく可能性は高くなると考えています。京都には織物に関わる技術を根底にもつ企業も多いですし、京都以外でも例えばトヨタ自動車なんかもそうです。もともとは織機を製造していた会社の自動車部門が大きくなっていったわけですから。西陣はその可能性を持つほどの技術を充分持っていると思います。僕は西陣の底力というものを信じているのです。
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