着物を着てみる。洋服と比べて動きに制約があって、すこし窮屈な感じがする。それが最初の感想だった。でも慣れてくるといつもと違う自分に気がついた。キュッと締めた帯のおかげか、背筋がスッと伸びる。自然と歩幅が小さくなる。しぐさや言葉づかいがいつもより慎重になり、笑い方も上品になる気がする。自分の心の奥に宿る大和撫子が甦ってくるというのは言いすぎだけれど、決してイメージ的でなく、着物は自分の中の何かを変えてしまうのだ。つつましさや礼儀を自然に保とうとする自分がいて、そうさせる着物がある。着物が精神的に訴えかける力を持っているのは、着物が言わば民族衣装として日本人の心にしっかりと染み込んでいるからで、それこそが伝統の重みなのだ。今、私達はそれを忘れかけている。本当にそれでいいのだろうか?
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