盆や彼岸の時期になると、決まってお坊さんがお経をあげに来てくれる。朝から何かと準備で忙しいが、長い読経が終わったところでやっと一息つける。母が前日から用意した茶と菓子がお坊さんの前にすっと出されると、一気に場が和む。普段あまり食べることのない高級な菓子に、私も手を伸ばす。
「お経を読むだけでおいしい菓子が食べられていいなぁ」と、食べ盛りの頃はバカなことを考えていたが、実際に厳しい修行をしている坊さんだって、甘いものが食べたい時があるに違いない。そんな気持ちを見越してか、お寺の近くにはたいてい坊さんのための菓子屋があるし、京都の菓子司でも「○○寺御用達」の古い木札を目にすることが多い。寺で行われる茶会や法要、そして家の仏壇にも…と、寺に関するあらゆる場面には和菓子が登場し、寺と菓子は切っても切れない関係なのである。つまり、多くのお坊さんは和菓子をおやつとして楽しんでいるというわけだ。[笹屋伊織]が東寺のお坊さんのためにドラ焼きを発明したエピソードがあるように、お坊さんって実はけっこう甘いモン好きなんじゃないかと思うのである。
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