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「今日、上賀茂神社へ行ってきた」と上司に話したら、すぐに「焼き餅食べてきた?」と返された。彼に限らず、「上賀茂に行ったら名物の焼き餅を食べなきゃソン」と言う京都の人は多い。万が一、食べ忘れたりしようものなら、「上賀茂まで行ったのに何してるん?」と、いかにも残念そうに言うのだ。確かに上賀茂神社の前にある[神馬堂]の焼き餅は、街で売っている普通の焼き餅とは違う気がする。他の門前菓子もまた然りで、何か特別な菓子のような気がするのだ。それは「上賀茂神社の」や「上御霊神社の」等と、店や菓子の冠に付く、神様の影響なのだろうかと考えてしまう。

上御霊神社前に店を構える[水田玉雲堂]の銘菓『唐板』は、平安時代に行われた御霊会で配られた疫病除け菓子に由来する。「お子さんのお祝い用だけでなく、気に入ってくれはった方が都度買ってくれるんです」という奥さん。一度食べておいしかったから、二度三度と…ついつい足を運んでしまうのだ。事実、私もアツアツの焼き餅を[神馬堂]の店先でほおばりながら、一生つきあえると思った。幾度となく食べ続けた最後には「故人が好きだった菓子です…」と、法事のお供えとしても遣われることもあるとか、ないとか。



[神馬堂]の焼き餅
焼きたてほやほや、至福のひととき。
[水田玉雲堂]の唐板
やみつきになるパリパリ感。




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