桜餅、おはぎ、柏餅、太鼓焼き、麩まんじゅう…。私にとっての「和菓子」は、やっぱり餡子のつまった「おまんじゅう」な気がする。京都では、おまんじゅう屋のことを、愛情をこめて「おまんや」と言う。
今回[音羽屋]の取材時、同じ店名を持つ菓子屋が今熊野にもあると知り、何か関係があるのかとご主人に尋ねると「全く関係ないんですわ」との返事が返ってきた。「あちらさんは今熊野の場所で昔からやってはるし、うちはこの烏丸近辺で昔からやってるから問題ない」のだとか。おまんやに限った話ではなく、[鶴屋○○]や[亀屋○○]など、京都には同じような店名の菓子屋が多い。暖簾分け云々の理由もあるが、今のように交通が発展していない頃は、町内を出たらもうヨソの土地だったという。だから、離れた土地であれば同じ店名で営業していても何ら問題なかったのだ。そもそもおまんやとはその日作ったものを、その日の内に近所の人が買って食べるような営業形態であり、それぞれの町とセットで存在しているものなのだ。
確かにおまんやとは、その町で暮らす人の舌に支えられてきたものだし、「うちの家、[出町ふたば]から徒歩五分やし!」といった風に、おまんやの名物菓子が町のちょっとした自慢でもある。あぁ、おまんやよ永遠なれ。
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