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「一見さんお断り」の裏側
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  以前お茶屋の女将さんに、お客さんからの舞妓さんや芸妓さんの予約が重なった場合はどうするのか聞いたことがある。あるお客さんがすでに舞妓さんを予約しているところへ、長年の常連さんが同じ時間にその舞妓さんを予約しようとしたらどうするのですか、やはり店との付き合いの長さで決まってくるんですか、と。すると女将さんは、「それはもうどんな場合でも単純に早いもん勝ちですわなぁ。そういう納得できるルールやないと断れませんもんなぁ。」と意外な答えを返してくれたのを覚えている。

お茶屋に限らず、料亭でも割烹でも「すんまへんなぁ、その日はもういっぱいですねん。またたのんます。」と料理長が電話で話しているのを食事中に聞くことがある。つまり商売かどうかにかかわらず、なじみの古参も一期一会の客も、客である以上は平等に扱うということである。だからこそ、きちんと前もって予約をすれば、ほとんどの店の扉は開かれるし、席は用意されるのである。たとえそれが「一見さんお断り」の店であったとしても、一見であるがどうしても行ってみたいことを前もって伝えれば、入れる店が多いのである。

一見さんお断りというのはやんわりと断るためのエクスキューズであったり、新参の客のふるまいを見極めるためのテストとして機能しているものなのである。くれぐれも店に甘えたり(「観光客だから」とか「初めてなんでよくわかりません」とか)、何かを期待しすぎてはいけない。店と自分の視線の高さを同じにし、距離感に気を配ることだ。店に何かをしてもらうのでも、何かをしてあげるのでもないような関係でいることだ。ちょっと通い詰めたからといってカウンターで常連ぶったり、あるいはそういう空気を出そうとするのが京都では一番カッコ悪いふるまいであることを忘れてはいけない。他の客とあなたが対等だとすれば、他の客に嫌がられる行為がもっともNGなのである。それさえわかれば、京都の店や人との付き合いはうまくいくだろう。


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