| [大藤]の初代・大黒屋藤三郎は元々御所の料理人をしていた。御所の仕事を辞め、漬物などを売る食料品店を始めたのが慶応元年(1864)。御所を懐かしんである漬物を考案した。薄く切った聖護院かぶらを御所の白砂に、壬生菜を松の木に見立てた優雅な漬物だ。味付けも、塩だけでなく昆布やみりんなどを使って整えた。最初は、宣伝もかね街頭で実演販売をしたそうだ。料理人としての技術を駆使して、素早くかぶらを薄切りにするデモンストレーション。切った樽に詰められたかぶらを見た人が、「あれだけ薄く切ったんだから、百枚はあるだろう」「いや、千枚はあるはずだ」という会話から、「千枚漬」と呼ばれるようになったという。実演販売は盛況で、他の漬物屋もこぞって千枚漬を主力商品として登場させた。今では千枚漬のない京都の漬物屋など考えられないほど。[大藤]では、現在でも当時の漬け方にこだわり、かんなで千枚漬を1枚1枚手で押して切る。昆布、塩、みりん等の味つけもそのままだ。名産が名所を象徴していることに、奥深さを感じずにはいられない。 |
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