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ぶぶ漬けどうどす?
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ぶぶ漬けどうどす?

京都ではお茶のことを「おぶ」又は「ぶぶ」、お漬物のことを「お漬け」、そしてお茶漬けのことは「ぶぶ漬け」という。今では、高級な漬物や佃煮を具に使ったぶぶ漬けも登場しているが、昔は台所のあり合わせのもので作る粗食だったという。

嫌なお公家さんやお侍さんが来て長居している時に「ご飯時やし、もう帰って欲しいなぁ」と思っても、「もう帰っておくれやす」と言ってしまったら客が腹を立ててしまう。だが、「ぶぶ漬けでもどうどすか?」と言おうものなら、「ぶぶ漬けなど食えん!」と言って帰ってしまったとか。

これが古くから京都に伝わる、「ぶぶ漬けいかがどす?」という独特の作法の由来だと考えられている。これは長居している客を帰らせたい時に、「ぶぶ漬けでもどうどす?」と問いかけて、客の帰りを遠回しに促す技である。たとえ「それじゃ、いただきます」と客が言っても、待てど暮らせどぶぶ漬けが客の前に出てくることはない。むしろ、真に受けてジッと待っているような客は「空気が読めへん人どすなぁ」と、ばかにされてしまうのだ。

もちろん現代では、こうした作法から開放された京都人もいる。「ぶぶ漬けでも…と言われたら、遠慮なく食べて帰るね。こういうのってタイミングと雰囲気の問題やで」などとのたまう人間まで出てきているのだ。まぁ、何にしても感情をあまりオモテに出さない京都人のことだ。抑揚のない「ぶぶ漬けどうどすか?」というフレーズから、その腹のうちが分からないヨソもんは、「いやいや、そろそろ帰りますんで…」と言って、おいとまするのが得策だろう。このように京都において「ぶぶ漬け」とは、対人関係における合い言葉、いや暗号として機能しているという一方で、近年のぶぶ漬け界には様々な動きが見られる。

【実態1】
大手ネットショッピングサイト上で、「清水焼の茶漬椀付き・京都ぶぶ漬けセット」なるものが販売されている。「京都=コワイぶぶ漬けの作法の街」というイメージをいい意味で払拭し、お得意の高級感を出して成功している例だとも考えられる。

【実態2】

2001年、大手カレー専門店チェーン[COCO壱番屋]にて、夏季限定で「bubuカレー」なるものが発売された。京都の「ぶぶ漬け」をモチーフに、カレールー+米+かつおぶし+大根おろし+きざみのりという構成となっている。「冷たいカレー」というのがウリの、驚愕の一品であった。

【実態3】
京都市内では、「ぶぶ漬け」をメインメニューとした外食産業も盛んになってきている。漬物屋の経営する「お茶漬懐石屋」や「お茶漬け居酒屋」にはホンマモン志向(自称)のグルメ通が集まり、飲み屋街に突如開店した「お茶漬けバー」は、呑んだシメに食べに来るお客であふれている。

これは京都のぶぶ漬け界の最先端レポートである。なんとぶぶ漬けは、対人関係における伝説の暗号というだけでなく、外食産業にも進出しているのだ。

「ぶぶ漬けどうどす?」
今やこのフレーズは、「あんたそろそろ帰ったら?」というものと、「まぁまぁせっかくやしぶぶ漬け屋でゆっくりご飯でも食べよか?」というものと、2つの意味合いを有するようになってきているのであろう。

それにしてもぶぶ漬けというのは、本来客の前に出てこない食べ物なわけで、そう考えると「幻の一品」という感じさえする。ぶぶ漬けとは一体何であるのか?ここでは、京都の漬物屋をはじめ、乾物屋、佃煮屋など多くの店を回り、とっておきの「ぶぶ漬け特選素材」を集めてきた。もし「京都のぶぶ漬けはコワイ」と思っている人がいるとしたら、京都の素材を使ったオリジナルのぶぶ漬けを作って食べ、少しでも親しんでいただければと思う次第である。




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