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ありがたいカウンター。
これまでのページでは、押し寿司や箱寿司など京都ならではの寿司を特集してきたけれど、もちろん京都にもにぎりの寿司はある。瀬戸内海の明石や岩屋から直送した素材を使っているとか、握り方や酢飯の味付けとかいったようなスペック的なことだけでなく、路地裏だったり大通りからそれたところにあったりして街場の風景として溶け込んだ店に入り、出入りする客や交わされる会話からその街の色や空気をうかがい知るのも1つの楽しみ方だと言える。

街場の寿司屋はカウンターとちょっとの座席数だが、喫茶店のように街のあらゆる人々を吸い寄せている。「店が裏切らんかぎりお客さんは絶対裏切らへん。だから目の前のお客さんをひいきせず平等にもてなすことが、商売におけるたった1つのルールやわ」と[さか井]の女将さんが言うように、街場の寿司屋ではセンチュリーで乗り付けた偉い会長さんも、華道や茶道の家元も、サラリーマンも就職難の学生も、みな平等に扱われるし、そういう扱い方をする店だけが今に残っている。観光客だけをあてにした半端な店が多い街にあって、少なくとも街場の寿司屋は裏切らない。

小さな店が多いだけに、何を仕入れるかは日によって決まるし、シケや価格の高騰で仕入れられないものは無理に仕入れない。だから、いつ行っても何でもあるような回転寿司的な便利さはないが、揃っているネタはその日に1番旨いものだけという安心感と期待感がある。

[さか井]の名物のミックス丼やにぎりの盛り合わせの中身も、[とみ寿司]のおすすめのにぎりも日によって変わるが間違いなくいつも旨い。寿司の味の旨さだけでなく、店の良さ、旨さもぜひ自分の感覚でとらえてみて欲しい。そこからも京都の寿司とはどういうものなのかが見えてくるだろうから。


[とみ寿司]
OPAの裏、裏寺と呼ばれる場所が若者で賑わいだすはるか昔に開店した寿司屋。20人ほど座れる長いカウンターは夕方の開店直後に満席になり、2階の座敷も家族連れや会社帰りの飲み会など幅広く使われている。京都で暮らす若者がカウンターで食べる寿司の魅力を知るのもまずこの店から。

安いが味はいまいちの回転寿司に飽きてきた大学3回生が先輩に誘われカウンターに座り、やがて友達や彼女を連れてのリピーターとなり、大人になってもここに来る。そんな感じだ。

いつでも何でもある店の楽しさよりも、今日は赤身よりもヅケのマグロが旨そうだとか、今年もついに穴子の旬が来たとかこのイカはにぎりよりも塩焼きにしてほしいとかいったその日だけの味を味わう幸せの方が何倍も貴重だということを知るのだ。一歩目はともかく7種14カンに鉄火巻きが盛り合わせになった「とみにぎり」から。創業以来変わらない値段であなたを待っている。
 
京都市中京区新京極四条上ル2筋目東入ル
■ TEL : 075-231-3628
■ 営業時間 : 5:00PM〜11:45PM(L.O.)
■ 定休日 : 木曜休 
※「とみにぎり」1,570円



[すし さか井]
宮川大助花子を思わせるような夫婦漫才がいつもカウンターで繰り広げられる街場の寿司屋。その席数はわずか5席、家の食卓のような温かさだ。

黙々とええ仕事を続ける合間にボソッとボケたりつっこんだりするご主人と、「会話は「、」で終わるんよ。「。」で止めない。そうすればいつまでも話が続いていくわけやから」を身上に客のオヤジギャグを上手に転がしながらもビールの栓を抜いたり海苔をあぶったりする器用な女将さんがいる。

客はほとんどが「京都の店はもうだいたい知ってます」といったような年配の上級者達だが、みなそれをにおわせるだけで、あの店は旨かったとか味が落ちたとかの下世話な品評はしない。みな出された寿司を食べてうれしそうに帰ってゆく。この店と出会うことで、京都旅行の思い出は必ずやひとつ増えることだろう。
 
京都市中京区高倉錦下ル西側
■ TEL : 075-231-9240
■ 営業時間 : 11:30AM〜6:30PM(L.O.)
■ 定休日 : 不定休
※ にぎりの盛り合わせ2,500円


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