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京豆腐が生まれた場所。 京豆腐が生まれた場所。

嵯峨豆腐 森嘉
やわやかくてツルンとした絹こし豆腐。今では当たり前の豆腐の姿は、実は戦後に登場したものだ。現在の豆腐の起源は[森嘉]にある。戦前までの豆腐とは、一般ににがりを凝固剤に使用した木綿豆腐のことだった。切ってみると木綿のようにざらざらしているから木綿豆腐、という名前からも分かるように、本来豆腐とは固いものだと認識されていた。しかし戦後(1959年)、[森嘉]の先代が凝固剤に澄まし粉(硫酸カルシウム)を使用したやわらかい豆腐を開発した。これこそが京豆腐の原点と呼ばれる[森嘉]の「嵯峨豆腐」である。

これを機に豆腐の価値観は大きく変わる。「嵯峨豆腐」の誕生によって京都の豆腐屋の技術と意識が向上し、豆腐が京都名物として定着したのだ。この「嵯峨豆腐」のルーツは戦時中、[森嘉]の先代が中国での豆腐作りは凝固剤に澄まし粉を使用しているのを偶然知って、真似をしてみたことに始まる。やわらかい豆腐は意図的に生まれたものでなく、実験的に挑戦してできあがった偶然の産物だという。ただやわらかいだけでなく、コシが強く壊れそうで壊れないという絶妙な固さが京都人の好みにピタリと合致し、京都での市民権を獲得した。やがて人の往来や口コミによってこのやわらかい豆腐は全国へと伝播されていった。

嵯峨豆腐 森嘉
現在も[森嘉]には毎日全国から客が押し寄せるが、1つ1つ丁寧に手作業で作るという製法は、昔から変わらない。機械と違って手順の見える手作業は、水と大豆をうまく扱う高度な技術が身につくのだという。日々の作業開始はなんと午前1時。石臼で大豆をじっくり挽き、釜戸に薪をくべてじっくり直火で焚く。天候などで毎日味が微妙に変わってくるため、社員は毎朝豆腐の味噌汁を食べて味を確かめているという。豆腐作りに関して、妥協や手抜きは一切ない。デパートに卸さず宅配もしない[森嘉]の豆腐は嵯峨に行かないと食べられない。「ものが生まれた土地に実際に行ってそこで味わうこと、これが重要です。気候や風土も味わいの内ですから。作られた土地でこそ味は最大限に活きるんです」とご主人は言う。夏は暑く、冬は寒い。一見すると暮らしにくい気候の京都の街には、冷や奴や湯豆腐など季節によって姿を変え、いつでもそばにいる[森嘉]の「嵯峨豆腐」がある。

[嵯峨豆腐 森嘉]
京都市右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町42
■ TEL : 075-872-2395
■ 営業時間 : 8:00AM〜6:00PM
■ 定休日 : 水曜休(祝祭日は営業、翌日休)




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