
京都には2つの名物豆腐があると言われている。現在の京豆腐の元を作った[森嘉]の「嵯峨豆腐」と、創業以来、南禅寺本山へ卸している[服部]の「南禅寺豆腐」だ。湯豆腐屋のメッカとして知られる南禅寺界隈で、「南禅寺豆腐」という正式な登録商標が与えられるのは、この店で作られる豆腐だけなのである。
なめらかで、何もつけなくても十分に風味があるこの豆腐は、素材はもちろんのこと職人の技術も一流であるが、「素材にしろ、それを活かす技術にしろ、まずは初心の心構えがあってはじめて成り立つものだ」とご主人は言う。「例えば大豆を水に浸ける時間や温度の調整以前に、まずその大豆を浸ける容器をきちんと清潔に保っておくこと。豆腐作りというのは多くの人間が関わるものだから、コミュニケーションを大切にすること」などがその例だ。南禅寺にわざわざ豆腐を食べに来る人たちへ、初心を忘れない謙虚な姿勢、真摯な態度で応える日々。これからも「南禅寺豆腐」は進化し続ける。
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