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おのぞみドットコムきょうはカフェ日和街が見える場所>ソワレ
人は自分以外の誰かとコミュニケーションを取らないと、豊かな人生を送ることはできない。「私はこういう人間です」というメッセージを、会話の中で自分の好きな音楽や小説、料理などに置き換えて、他人に発し続けている。そして、同じように他人からメッセージを受け取っている。こうやって、自分が街や友人の中でどんな居場所を得られるか探っているのだと思う。

そして、自分以外の人間と対話するためには、ある準備が必要だと思う。「自分が一体どんな人間なんだろう」と、一人静かに深く考える時間を持つことだ。
京都随一の繁華街・木屋町は自分以外の誰かと対話するにはうってつけの場所なのかもしれない。居酒屋、お洒落なバー、カラオケボックス、カフェ、はては風俗店など、様々な店が建ち並ぶ。店に入ると、賑やかな音楽が鳴り響き、目新しい料理や商品が並んでいる。自然と、訪れた人達の間で会話も弾む。そんな店ばかりだ。

けれど、この街には何かが少し不足しているように思う。それは、対話する前に必要な、自分のことを深く考えるための場所が少ないことかもしれない。

そんな木屋町で、ソワレは自分について深く考えるには最適な喫茶店なのかもしれない。両側に立ち並んだビルとは不釣合いなレトロな建物。木彫りとガラスの入り口には、「ソワレ」と古い字体の片仮名が。中へ入ると、最近のカフェや喫茶店のように明るくはない。まるでバーのようだ。けれど、暗いというのとはまた違う。青く深い照明が店を包んでいるからだ。壁一面にある木彫りの彫刻や、画家・東郷青児の美人画が青い照明を受けて浮かび上がっている。そして、店内にはジャズでもクラシックでもない、静寂という名の音楽がかかっている。他のどのカフェや喫茶店とも違う。まるで深い海の底に沈んでいくような感覚だ。携帯電話が普及した今でも、待ち合わせにこの喫茶店を使う人も多い。人を待つ時間を過ごすのに、ここほど落ち着ける場所はないかもしれない。


もちろん、この店では会話が一切楽しめないというわけではない。店の前には歌人・吉井勇氏が、[ソワレ]のために残した「珈琲の香にむせひたるゆうへより 夢見る人となりにけらしな」という詩が碑に刻み込まれている。これは、現在のオーナー元木氏が、[ソワレ]を訪ねていた歌人の吉井勇氏と会話している時、なにかの弾みで「一首お願いできませんか」となったものだという。[ソワレ]でも豊かなコミュニケーションを取ることはできる。けれど、それは自分のことを深く考えるのに最適な場所だったからこそだと思う。ありえないことだけども、もし吉井勇氏が隣のカラオケ屋に行って同じことを言われても、彼は歌を詠もうなどとは思わなかったはずだ。

木屋町が[ソワレ]のような店ばかりになると、ちょっと困る。木屋町には、他者とコミュニケーションができるような賑やかな店が沢山あったほうがいい。けれど、どんな街でも[ソワレ]のような喫茶店は必ず一つあってほしい。他者とコミュニケーションを取るには、まず自身を深く知ろうとすることが大事なのだから。



・ゼリーポンチ 600円
・ゼリーコーヒー 550円



ソワレ
京都市下京区木屋町四条上ル
12:00から22:30(LO夜22:00)
(日祝11:00から)
075-221-0351
月曜休
駐車場:なし
カード:不可

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