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大学の近くには、教授が学生を先輩が後輩を一度は連れていくお店がある。教室や講堂よりも、そんなカフェや喫茶店を先輩や教授から受け継ぐことで、その大学独特の気風のようなものが残っていったのではないだろうか。
[わびすけ]は、まさにそんなカフェだ。入り口の引き戸をくぐると、そこには年月を感じさせる焦げ茶色の光沢のある木製テーブルや柱が現れる。そして店内の中心には大きな金魚鉢。田舎の祖父母の家のようにリラックスできるインテリアは、このカフェが積み重ねてきた年月があってこそ醸しだされるものだ。
[わびすけ]の創業した時期ははっきりしない。わかっているのは同志社大学の創立初期には、大学構内にあったということ。その時の名は[ミルクホール]。大学の発展のため明治末に敷地を譲って今の場所に落ちついた。「同志社大学ができてからなのか、できる前からあったのかさえもわからない」と、女将さんは教えてくれた。気づいたときには同志社大学の学生や教授達にとって、なくてはならないカフェになっていた。
そんな彼らが、昔も今も変わらず頼む名物料理がある。それが、「いもねぎ定食」。ジャガイモと玉ネギが半熟玉子でとじられた素朴なもの。真ん中にそえられた味の付いたミンチ肉がちょっとしたアクセントになっている。初めて来た時、一口食べて驚いた。こんなにもおいしいとは思っていなかったから。素朴なだけに、味がハッキリと出る。上にのったミンチ肉以外は塩コショウのみの味付け。ホクホクのジャガイモと玉ネギの甘み、不思議なくらい箸が進む。すると、「最近はケチャップやマヨネーズを好む人がいるので良かったら」と女将さんが持って来てくれた。
ケチャップやマヨネーズが無かった時代、学生たちは贅沢だからと上にのったミンチ肉さえ抜きで注文したという。値段も肉抜き、ジャガイモ抜き、玉ネギ抜きが用意されていた。もちろん味つけは塩コショウのみ。それでも十分おいしい。
昼時になれば、「いもねぎ定食」目当てに学生だけでなく教授もやってくる。そんな教授の姿を見て思わず学生が、「先生も[わびすけ]を利用するんですね」と教室では考えられない気軽さで話しかけている。実は、教授も同志社のOBで何十年も前から「いもねぎ定食」を食べ続けてきた常連でもあったりする。そんな昔話をきっかけに、教授と学生の距離がどんどん縮まっていくのを、こちらの女将さんは何度も見続けている。
学生が気軽に話しかけられるのも、時代を超えて同じメシを食べたという感覚を共有しているからだろう。こうやって[わびすけ]での会話を通して、教室では教えられない、同志社らしさを学生は受け継いでいっているのかもしれない。
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店内では同志社のOBで絵描きでもあった先代が描いた絵が並ぶ。その他にも絵葉書や同志社の校章が入った、大学でも売っていないオリジナルグッズも置かれている。 |
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・「いもねぎ定食」 900円
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わびすけ
京都市上京区烏丸今出川上ル岡松町270
075-451-0667
10:00AM〜9:00PM
日・祝休
カード:不可
駐車場:なし
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[猫町]
北白川
日常の隣にある素朴な贅沢 |
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