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宝鏡寺・人形展
愛されるために生まれてきた。

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宝鏡寺・人形展
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今ようやく冬の寒気が退き、春の陽気につつまれた昼下がり。自転車で走る京都の街は、どこもかしこもの ほほんとしていて、ようやく訪れた春に喜んでいるようだった。3月3日、今日は雛祭りだ。

宝鏡寺は百々御所とも呼ばれ、歴代の皇女が過ごされた尼門跡寺院だ。多くの皇女がこの寺で過ごされた際に、父君から贈られてきた数多くの人形が寺で大切に保管され、年に二度、春と秋にのみ一般公開される。3月1日から1ヶ月ほどかけて行われる、今年の春の人形展のテーマは、この寺で幼少の頃を過ごされた皇女和宮ゆかりの品々だ。

和宮は6歳の頃に有栖川熾仁親王との婚約が決まり、少女時代を橋本家で学んだ。しかし、「公武合体」のために幕府から朝廷へ正式に徳川 第十四代将軍家茂の妻として、和宮の降嫁願いが出され、和宮は江戸へ赴くことになる。幕末の時代に翻弄された和宮だが、幼少の頃には双六や貝合わせなどの遊びに興じたというエピソードも残っている。

寺には宝鏡寺の宮ゆかりの品々の他にも、寺に寄せられた古い時代の雛人形が多く飾られている。雛祭りの由来をたどれば、3月初めの巳(み)の日に、形代(かたしろ)や人形(ひとがた)を身代わりとして、これを海や川に流すことで厄災をはらう風習と、宮廷での雛遊びとが混じり合って成立したと言われる。江戸時代の初めには、上流階層を中心にして現代のような形式の雛祭りが行われるようになったという。民衆の間で盛んになるのは、江戸時代中期以降からだ。

人形の様式も、紙の形代に似た素朴な立雛に始まり、やがてより上質な作りの座雛へと変遷し、江戸時代後期には古今雛(こきんびな)という金糸や色糸などを使った華やかな衣装で、顔だちも写実的になる。そして、この古今雛の様式こそ、現在まで受け継がれているものだ。

境内に飾られた雛人形たちを見物しているうちに、私自身、幼い頃に父と一緒に雛飾りをしたこと思い出しては、懐かしい気持ちでいっぱいになった。20歳を越えた今、もう7段もある雛人形を飾ることはない。けれど幼い頃、時の経つのも忘れて、小さくて可愛らしい雛人形にとても愛情をもって接していたように思う。そして、大人になった今、雛人形には親が子どもを愛する気持ちも込められているのだと、あらためて気付かされた。

雛人形も私も愛されるために生まれてきた。
そう言ってしまうと、少し大袈裟だろうか。

[宝鏡寺(ほうきょうじ)]
京都市上京区寺之内通堀川東入
075-451-1550
アクセス:市バス「堀川寺之内」下車、徒歩すぐ。
※通常は非公開ですが、雛祭り・春の人形展・秋の人形展の際にのみ一般公開される。(展示のテーマ、料金ともに年によって異なる)
http://www.hokyoji.net/

【平成16年 春の人形展】
開催日時:3月1日〜4月3日
時間:11:00AM〜4:00PM(閉門)
拝観料:大人500円、子ども250円





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