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真剣な会話
>庖丁・料理道具 [有次] 寺久保 進一朗 さん
[有次]が鍛冶として創業したのは永禄3年(1560)、戦国の世のことです。以来永く御所に出入りする鍛冶屋として、鑑札*をいただいてきたと言います。しかし時代の変遷と共に、造り出す刃物の種類にも変化が現れました。とりわけ明治時代になって文明開化と共に、西洋料理も普及、家庭の料理もおばんざいにとどまらず、多彩に学ぶ時代になりました。[有次]も例にもれず、仏師小刀、庖丁そして料理道具へと取り扱う物が変遷してきたと言います。
庖丁は「一生もの」。良い庖丁は大切に扱えば、20年以上使えると言います。「10年使って柄が傷んできたので付け替えて欲しい」といったお客からの注文も、このお店では承っています。
京都が誇る伝統の産業や工芸、文化を側面から支えてきた多くの職人たち。その中にあって、[有次]の刃物造りには、刀鍛冶にかけた魂、人から人へ伝える技、永い経験と研ぎ澄まされた勘が活かされています。そして、「物を大切にする」という思いが、物づくりに携わる職人から、店頭で売るスタッフ、切れ味の悪くなった庖丁を研ぐスタッフまで一貫して流れているのです。
*鑑札:役所などが許可・登録・免許などのしるしとして発行する証票。
Q、[有次]さんの商品は、どのようにして出来るのでしょうか?
こうちで扱っている物には、庖丁や小刀などの刃物、銅や真鍮の金物の鍋や小物などがあります。それぞれに専門の職人がいます。例えば刃物を作る職人である、刀鍛冶の仕事は、創業当時の刀鍛冶の伝統の技を受け継いでいます。
側から見ていても大変な仕事です。要するに鉄と鋼を赤めながら金槌で打って形づくることで、強く、美しく、しかも最高の切れ味を生み出す訳です。まず、火がすごいですね。鋼をくっつける鍛着は950〜1000度、庖丁の形にする火造りは800〜850度、完成に近い焼き入れは750〜780度。温度で計るのではない、周囲を暗くして火の色をじっと見つめて判断する。勘と決断の世界です。
こうした職人が代々うちに出す物を作っていますが、やはりその数が減ってきています。今は次なる職人を育てていかなくてはいかん時やと思っています。20年前と今とでは少し違う。同じ銅鍋でも、美しさやかっこよさの価値観が時代によって少しずつ変わっていきます。現在うちの職人の中に、30代前後の者を10数名ほど集めた“若者の会”というものがあります。刃物を扱う職人から陶器や鍋、庖丁の柄を扱う職人までさまざまです。どうしてこのような会をつくったのかと言うと、若い人たちの交流が出来てくることによって、彼らの考える新しいものを見出していけると思ったからです。そうして新しい職人が育っていくと、その受け皿としてうちの店でお客さんに売ることができるのです。
古い考えのままではあり得ない。常に新しい考えを成長させてあげることで、店自体も少しずつでも成長していくこと。それが“商売が存続していく”ということなんです。ほら、新しいものには新しいお客さんを呼ぶことができるでしょう?
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