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Q、桃山時代以降、奉納品であった石造物が茶の湯文化に取り入れられていったとお伺いしましたが、新しい文化の中に古い文化を取り入れることには、どういった意味合いがあるのでしょうか?
今日の茶の湯世界を見ても、各々の流派によっては、茶庭に石造物を用いることが好まれています。石灯籠の他に、たとえば古い礎石(建物の土台として据えられた石)を転用して、手水鉢(ちょうずばち)として用いる事もあります。
京都では、新しいもののことを「湯気が出ている」と表現することがありますが、やはり新しいものには重量感がないというか、落ち着きがないように思うのです。それに私たちは、古いものに対して一種のノスタルジー(郷愁)を感じる傾向があるように思います。ですから、新しい茶室の中に、アンティーク的なものを取り入れようとしたのではないでしょうか。
最近、私がプロデュースをお手伝いした料理屋さんのご主人も、「店は全て新しいものなので、一つぐらいは歴史のあるものを」ということで、鎌倉時代の宝篋印塔(ほうきょういんとう)を転用して、手水鉢に見立てたものを店に置かれています。この店のご主人は、お店の設計をこの手水鉢を中心にして考えたのです。石造品を扱う仕事をしている私としても、モノを決めてから空間を設計するという発想には共感する部分があります。客人をいかにもてなすかは、そこに置かれたお皿や灰皿など一つ一つの要素にまで主の心配りがなされているかどうかだと思います。そうした意味で空間の持たせ方は、置いているもので決まりますし、これが「心でもてなす」ということではないでしょか。
Q、石造美術の魅力とは何でしょうか?
うちを訪ねてくるお客さんとはよく骨董の話になるのですが、「石に心が惹かれるのは最後やねぇ」と言われる方が多いです。それだけ石について語るということは難しいのかもしれません。また、古い石造美術品のほとんどが京都に集中しており、うちのような石造美術を扱う商売は、「京都独特の商売」だと思っています。石造美術というのは、飛鳥時代以降の歴史考古学の範囲に入る石造の加工品全般の事です。
うちの商品には様々な時代背景を持つ石灯籠、手水鉢、石仏、宝塔や古い時代の神社仏閣の柱を支えた礎石、仏教美術に関する石造品、または代々の彫刻のデザインとして独特のデザインを持つ伝之亟([石源]初代)の灯籠まで、新旧様々な石造品を扱っています。私は石を御縁として、様々な分野の方々と出会えることが代々の家業の喜びだと感じています。
石を手に入れること。それはその石から自分なりの思いを馳せていくきっかけを手に入れる、という行為なのではないでしょうか。「ただの石」、「普通の石」という考えを捨てて、あらためて京都の石文化にふれてみてはいかがでしょうか?
Q、最後に、石造美術商という職業はどういったものなのでしょうか?
私は、石造美術とは感覚で楽しむものだと思っています。ですから、お客さんとのおつきあいは、社会的な地位やお金とは無関係な所でのおつきあいになります。つまり、趣味の世界でのおつきあいだからこそ、誰とでも対等(時には知識の多い私の方が上)の立場でおつきあいすることが出来るのです。ですから嘘を言うことはできませんし、誠意を尽くすことが大切です。この商売は、人間と人間とのおつきあいそのものだと思います。常に、人を受け入れる用意が出来ていますし、例え商売とは関係がなくとも、私の所に人が来てくれるのが嬉しいのです。
有限会社 石源 本店
京都市左京区北白川下池田街73
075-701-0433 |
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