真剣な会話

知は力ですよ、絶対にね。
京都大学 名誉教授(京都橘大学 文化政策学部教授) 近藤文男さん

Q. 先生は長い間京都大学におられて、そのあと京都橘大学に移られたわけですが、 大学によって生徒の違いはありますか。

真面目で素直な子は沢山いるのですが、一番違うのは、勉強に対する姿 勢だと思いますね。つまり知性のあり方が違う。あれもこれも先生がしてくれるのではないかと、受け身になっている学生が多い。それも超が つくほどの。自ら学んでやろうとする学生が少なくて残念ですね。です から教育にはすごく時間がとられています。

大人はなぜかあまり言わないですけど、知は力なんですよ。知力が人生を左右することもあるんですよ。これは若いうちに絶対知っておくべきことなんですよ。今受け持っている学生には何度も繰り返しています。

だからこそ、自分で積極的に「学ぶ」というアクションを起こし、知性 を身につけることが必要なんです。書物を読んで知識を蓄える。物事を 深く洞察する。頭の中であれこれ思考する。そういうトレーニングをやっておくと、後々本当に役に立つんです。というか世の中で役に立つよう な能力ってそれしかない。

京大にいた頃は自分の研究を優先してましたけど、今は研究よりも教育に力を入れていて、少なくとも私と関わる学生には、徹底して知性を身につけてもらう努力をしています。

Q. 仕事選びに迷う学生も最近は増えてきましたが、どのようなアドバイスをされているのですか。

好きなことだけで仕事にするな、とよく言っています。趣味や好みはし ばしば変わってしまうからです。好きとか嫌いではなくて、世の中に役 に立つかどうか、社会に貢献できるかどうかを基準にすべきだと思いま す。今の若者は3年で辞めてしまうといった議論がありますが、やはり 好きなことや気分だけで仕事を選んでしまうとそうなる、という話なんです。

私の場合も、医者を目指したり経済学者を目指したり、目標とする職業 自体は変わりましたけど、社会の悪いところを治したいとか、自分が頭 を使って他人の役に立ちたいとか、そういう根本の部分は変わってないんです。

だからこそ、「自分の力で、他人のために何ができるか」をよく考えて、 仕事を選んでほしいなと思いますね。

Q. 長い時間を京都で過ごされていますが、何か変化はありますか。

それがね、基本的にはないような気がしているんです。もちろんね、新 しい店はどんどん生まれているし、新旧混合といった町並みが京都の魅 力でもあるんですが、長い目で見るとその根本はほとんど変わってない気がしますよ。
つまり、街を構成しているもののほとんどが、歴史とい う試練を乗り越えて残ってきた素晴らしいものばかりだということだと思います。風光明媚で静かですし、こんな住みやすい街は他にないですね。