真剣な会話
Q. インスパイアできる遊び場であるために、山本さんが意識していることは何ですか。
まだ無名の若手アーティストを積極的にイベントに出していることですね。一般的に、クラブやライブハウスはある程度集客を見込めないとなかなかイベントには出しません。一度使ってみても、集客が今ひとつだとそれきりということもよくある話です。まぁそれは経営面でいえばごく当たり前のことなんですが、メトロではよそではなかなか声のかからないアーティストにも光をあてていこうと思っています。
京都には、潜在的に才能をもつアーティストがいっぱいいて、でも有名になるかならないかは紙一重なんです。メトロは、そんなアーティストに光をあてる役割を担っていると思うんです。
それに、集客ばかりを意識しすぎて、メジャーなことばかりやっていこうとすると、店側がマンネリに陥ってしまうんです。そうすると、その雰囲気がなんとなくお客さんにもうつってしまう。また、すでにメジャーな人ってその分露出も多いから、「こんなの見たことない!!」って衝撃をお客さんに与えられることが少ないですよね。来てくれるお客さんをインスパイアしようと思うなら、他で見たことのないような奴をどんどん引っ張りださなきゃ。でも、うちに出てていたアーティストが、ひゅっとブレイクしてメジャーになることも結構あるんですよ。でも無名のときに場所を提供してくれたって気持ちから、メジャーになった今でもうちに出てくれたりする人もいます。そういうのはやはり嬉しい。生みの喜びのようなものを感じますし、次を引っ張り出す原動力にもなりますからね。
僕はメトロというクラブがなにかを発信する場所でありつづけてくれたらと思うんですよ。だから、流行りに流された興行的なイベントよりも、マイナーだけど意味を持つ、本当に自分がいいいと思うイベントをしていきたいと思います。
Q. 山本さんにとって、いいクラブ、いい空間とはどんなものですか。
「飽きない空間」ですね。クラブでもカフェでも、どんな店でもそうですが、店なんていうのは入り口から入って、ぐるっと回って、せいぜい5分もあればすみずみまで見れるでしょう。表面的な部分をいくらつくりこんでも、そんなものはすぐに飽きられちゃう。
だから、お客さんを飽きさせないためには常に「まだまだ何かあるぞ」と思わせなきゃいけないんです。恋愛でも一緒でしょ?表面がいくら綺麗だって、話してものの数分で底が見えるような人よりも、つかんだようでつかみきれていない気がする人の方が飽きが来ないじゃないですか。
「得体がしれない店」っていうのが理想かな。何回行ってもまだ何か隠してるんじゃないかと思わせるような、いい意味での得体のしれなさがある店。それには流行りばかりを追っていてはだめだし、いつ行ってもどこかに変化のある店でなくてはね。

