真剣な会話
「和」を現在の暮らしにどう活かし、どう豊かに楽しむかを提案するnokiro‐art‐net。
代表を務める佐藤さんに話をお伺いしました。「一品からのオーダーメイド」をコンセプトに掲げ、食器やインテリアをはじめとしたものづくりの作家と、ユーザーとをつなげる活動を行って3年。住宅や店舗の空間作りや展示会、各種の体験教室の実施など、活動の幅はさらに広がっています。ハイテク化し、日本古来の暮らしが忘れられていく現代、佐藤氏が考えている「豊かさ」とはどのようなことなのでしょうか。
Q. 現在の活動を始められる前はどのようなことをされていたんですか。
京都の大学を卒業して、東京で店舗の企画やプロデュースを行う会社で6年間働きました。学ぶことはとても多くて、刺激的な街だったんですが、なにぶん忙しすぎました。あるときちょっと疲れたな、立ち止まってこれから何をするべきか考えたいなと思ったんです。
東京での様々な仕事の中で、一つ気づいていたことがありました。それは、多くのお店のオーナーさんやお客さんが、手作りの温かみのある空間や品物を求めているということ。店とかレストランってすごく人間味のある世界で、人と人とのつながりが売上を左右するようなところもあります。誰しも自分の店を、個性的な、温かいものにして、お客さんといい関係を作っていきたいと考えている。だからこそ、画一的でない、作り手の顔が見える品物を欲しがっている人が増えているように感じます。
でも、手作り品をどこから仕入れていいのか、あまりわからなかった。作家さんとのつながりも少なかったんです。世の中には良質な手作り品がきっとあるし、熱意を持って作品づくりに取り組む作り手がいるはずなのに、出会う場所が少ないなと思ったんです。
Q. それで京都へ。
学生時代を過ごした京都の街は、ものづくりとか料理を真剣に考えて いる人たちがたくさんいた。だから僕も京都に戻ってきて、そんな人 たちとのつながりを作り、お客さんに紹介していくような仕事をしたいなと思ったんです。今から思えばなぜ京都か、という明確な理由はなかったんですけどね(笑)ひとまず京都に行けば何か見つかるだろ う、何か動けば何かが見えるだろうと。
Q. 作家さんとのつながりをどのように広げていったのですか。
まずは個展に出かけて、ピンと来る作り手さんを探しました。気に入ったらお話をして、お取引させていただくお願いをするという流れです。今ではつながりを持つ作り手さんは80名ほどになってきて、お客さんの要望にもかなり応えやすくなってきましたね。
優秀な作り手であっても、作ることに集中するためには、やっぱり販売サポートが必要。僕はそのサポートを通じて、作家さんと一緒にモノづくりをしていくというイメージです。
だから、いいとかわるいとか私が取捨選択するのではなく、私たちのコンセプトに合い、活動に共感してくれる作家さんの作品は、できるだけ多く並べてみようというスタンスです。値段も作家さんに決めてもらっています。主体的にかかわってもらうことで、お客さんの動きに対して敏感になれるんじゃないかと。[次のページへ]

