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Q、以前、笹島さんが「スタッフは僕の子供みたいなもの」とおっしゃっているのを聞いたことがあるのですが、そう思うようになった経緯について教えてもらえますか。
若くてガーって勢いがある時は、なんか自分の力だけでやってきたと思いがちだけど、僕は20代とか30代の若い時はそういう勢いがあっていいと思うんだよね。極端に言えば、まわりが何も見えなくてもしゃにむに自分のやるべきこと、やりたいことに進んでいく方が寧ろ僕はいいと思うんです。僕も20代とか30代には、恥ずかしいぐらい自分のことしか考えずにやってきたから。
自分の親に対して、僕は10代、20代の頃は「産んでくれてありがとう」とか思った事はなかった。もちろんそう思える人もいるだろうけど、あんまりいないと思うんですよ。なぜかというと、生きていくのに手一杯な頃じゃないですか。僕は今年40歳になって、意識的にいろんなことを考えた上で、自分の親のことをちょっと冷静に見られるようになってきたんです。「あぁ、迷惑かけたなぁ」とか。それで、これからは大層なことじゃなくても一緒にご飯食べるとか、暇があったら顔を見せるとか些細なことでもいいからしようと思ったんです。肉親のことをそういう風に思えるようになるというのは、僕ぐらいの歳からじゃないかなと思うんです。しゃにむに自分のことをやりながらも、他のものへも思いをはせることができなあかん歳じゃないかなと思うんです。
僕が今一番身近に感じるのは、お客さんとスタッフです。野菜を作ってくれる農家の人もそうだし、魚を運んでくれる兄ちゃんも同じです。自分がこうしてやっていられるのは、自分一人の成果ではなくて、そうした自分を支えてくれる人がいるからこそのことだ。周りの人がいるからこそ何とかやってこられているんだという気持ちになれたんです。強がったりせえへんで、素直に人の事を思える世代になったかなぁって思うんです。スタッフに対して面と向かって「いつもありがとうな」と言うことはないけれど、なんか自分のそういった思いを分かってくれたらいいなぁと思っています。
Q、そういった風に素直に思えるようになったのには、何かきっかけのようなものがあるのでしょうか?
自分がこの店を企業して、実際に自分が代表になって会社としてやっているということで、余計に素直に思えるようになったんです。この春も3名、4名新入社員を投入したんですが、歳とかを聞くと19とか20歳なんですよ。本当に自分の子供であってもおかしくない年齢ですね。僕にはジェネレーションギャップというものはなくても、向こうにとってはあるかもしれない。でも、こういう年齢差が出てきて、改めて感じることもあるんです。自分がその子達の歳の頃に思っていたことが、その子達のおかげで鮮明に思い出されてくるんです。変な話やけど、その子達を介して初心に戻ってやれるという部分もあるんです。若い子達と一緒に仲間としてやっていこう、と思えるこの季節はとてもいいんです。もちろん他のスタッフにとってもそうだと思います。
僕は唐突に経営者になりましたからね。いろんなものに押されるというか、欲せられて「もうやるしかない」という状況で始めたんです。そういう状況になれば、僕は本当に「分かる」と思うんです。自分が経営者の側にまわれば、社員がどれだけ大事かとか、来てくれるお客さんがどれだけありがたいかということが分かるんです。つまり自分の置かれている状況が大きくかわれば分かるものだと思うんです。なぜ、そうやってポンと分かるかというと、実は常日頃からそういうことを考えているものなんですよ。でも、「私は雇われの身だから…」とか、どこかに逃げ場があって、真正面から見ようとしていないんです。
何にしても追い込まれるというか、その状況にならないと分からないことっていっぱいあると思いますよ。僕の場合は、完全に自分で始めて、実際は「こんな風にするはずじゃなかったな」という部分もあって、借金かかえて、たくさんの従業員かかえて、それでもやらなくちゃいけないっていう羽目になって、本当に掛け値なしに、まわりの人に素直に感謝できるようになったんです。自分がこの歳になって、運命的にこういった状況になったのは、今思えばたくさんの人に支えられて、背中を押されてきたからなんです。そういう現実があるからこそ、僕はこれから無意識にはできないけれど、誰かのことを引き上げてあげようと思うんです。この40代というのは、もうちょっと周りのことを考えながら自分が生かされる世代やと思うんです。だからこれからは、身近にいるスタッフや家族のことを考えて、その人たちがどうしたらいいのかという事を考えることで自分が生かされたいですね。
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