真剣な会話

コツは「普通のことを普通にする」ということ以外にない [デザイン会社「socketdesign」]社長 以西裕介さん

Q. 飲食店を経営するなか、デザイン会社も設立されました。なぜ飲食業から急にデザイン会社を始めることになったのですか

一つめは危機感。rhythmを開店してしばらくして、飲食業という一つの世界しか知らないことが怖くなったからです。飲食業に関わっているとどうしても昼と夜が逆転した生活になるし、世間一般とは感覚がずれてしまう。飲食業に打ち込めば打ち込むほど、自分の視野が狭くなっていくんじゃないかって思うようになったんです。
もう一つは知らない世界に飛び込んでみたい、という好奇心。やったことの無いことをやるプロセスが好きなんです。

Q. バーテン時代から飲食業の世界でやってきた以西さんにとって、昼間の仕事というのはどうでしたか

一番の違いはスーツが着られるってことかもしれない(笑)でも、根本にあるものは飲食業のときとあまり変わらないと思う。結局、上手く仕事をやっていくコツは「普通のことを普通にする」ということ以外にないんです。「普通のこと」というのは、相手の気持ち、状況を想像するということです。バーテンダー時代だとそれは「お客さんを覚える」ということだと言いましたけど、あれは「覚えていてくれると嬉しい」という相手の気持ちを考えた上でそうするわけです。

デザインのクライアントに置き換えてみても、それは一緒です。全く知らない業種のクライアントと仕事をすることも多々あります。クライアントの会社を調べて、何を望んでいるか想像する。相手を知って、担当者の気持ちになって、欲する物を提案する。お酒という武器が、デザインに変わっただけです。 この間、僕のところで働いているスタッフが僕と同じように接客して、あるお客さんに叱られたんです。彼は「なんで以西さんならよくて、僕だとダメなんですかね?」と聞くんですよ。そのお客さんをよく知っている僕が言う言葉と、あまり知らない彼が言う言葉では、全く違うんです。相手の気持ちを考えて接していなかったから、「普通のこと」ができていなかったから彼は怒られたんです。

最近、木屋町で「アイツおもろいな」って言われる若いバーテンダーの噂を聞かなくなってきた気がします。それは、相手のことを考えるという普通のことが普通にできるバーテンダーがいないからかもしれませんね。シンプルだけど、実は実行するのはすごく難しいんですよね。

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