真剣な会話
「東京一極集中」−現在、多くの出版社が東京に本社を置いている。
いわゆる「出版業」の始まりは、江戸時代の上方からと言われている。しかし、江戸時代も中期になると、出版の中心は上方から東京へと移っていった。しかし、出版業の土台を築いた上方、京都には、今も茶道や宗教、教材関係などの書籍を発行している出版社が存在する。光村推古書院もその一つである。
最近では、京都手帖二〇〇七、京都おまもり手帖、京都時代MAPなどを発行している光村推古書院のHPで、「光村推古書院、壬生狼士のひとりごと」 http://spn08016-02.hontsuna.net
という、日々戦う営業マンのブログが公開されている。その当の発信者である光村推古書院株式会社営業部部長、浅野泰弘氏にお話をうかがった。
Q. 出版社の営業職に就かれたきっかけを教えてください。
もともと出版業に行きたかったんです。
なんとなく「出版=編集=ライティング」だと思っていて、作文が得意だったし。
ちょうど、光村推古書院が営業職を募集していて、編集と営業と両方できたらいいかなって入社しました。実際、当時は、社員数が少なくて編集もしていました。ただ、社員全員が編集者というわけにもいかなかったので、30歳の頃から営業のプロを目指そうと思うようになりました。
Q. 営業職についてどのようにお考えですか。
営業職とは、まず人と会うこと。それが僕にとっては何より楽しいです。
仕事を始めた頃は、同じ業界の人とたくさん知り会うことを目標にしていました。社外の人から得た業界や他社の動向などの情報は、自分の方向性を見つけるのに役立つ。彼らは「生きた教材」です。
出版社、書店、取次店のあらゆる人に会って、お酒を呑み交わしました。出版営業に必要なのは、強靭な肝臓やね(笑)ちなみに、その関係は今でも続いていて、当時、一緒に呑むのも怖かった人とも、今となっては肩を並べて呑めるのも楽しいねぇ。
Q. 営業職の醍醐味って何でしょうか。
やはり、自社本が売れること。その為には、地道な営業活動が求められる。
営業の主な仕事は、書店に本を勧めに行くことで、僕も週3で京都含め関西の、月1で全国の書店をまわっています。
売れないものは即、消えていくコンビニとは違って、書店は、売れてなくてもしばらくは置いてくれる。だからこそ、書店とのつながりも重要なんです。書店さんに悪い印象をもたれるより、良い印象をもってもらう方が、設置にも配慮してもらえるんじゃないかと思うので。人間と人間とのつきあいが何よりも大事です。
地方の書店に行くとき、僕はあえて京都弁のままで話します。「京都の本を京都人が売りにきた。産地直送だ!」そう思わせて、より多くの本を置いてもらうのが僕の営業戦略。
京都の書店で、本を褒めてもらうのも勿論嬉しいけど、そうやってまわった地方の書店で「売れ行きがいい」って聞くと、感激やねえ。また、全国の書店をまわることで、各地に知り合いができていくのも楽しい。
自社本が売れるところを見ることは奇跡に近いのですが、なぜか僕はその瞬間に遭遇することが多いんですよ。特に、地方でその瞬間を見ると「やっぱりうちの本は売れるんや」って実感して嬉しかったり。お客さんをつかまえて「一杯おごるわ!」って言いたいくらい(笑)。
逆に、書店に置いてくれるように営業活動をしたのにもかかわらず、自社商品の反応が悪かったり、返品されてきたりするとつらいね…[次のページへ]

