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おのぞみドットコム真剣な会話>[雲母漬老舗 穂野出] 田辺正さん(2)
真剣な会話
店内の風景

Q、お店での売り方にもこだわりがあると聞きましたが?

はい、うちの漬物は必ずお客さんが来られたら、ここで先に味を見てもらいます。それで口にあわないのだったら買わなかったらいい。旨かったらここで買えばいい。お客さんが口で考えてくれたらいいんです。

けど、私は一つだけ間違ったことをしているんです。非常にお客さんに悪いことをやっています。それも承知の上でやっているんですけど。雲母漬を食べると喉が渇くでしょう?普通はお茶をだすのが礼儀やけど、うちは出さないんです。なぜかというと、お茶を飲むと口の中の雲母漬の味が消えるからなんです。けど、ここでお茶を出さなかったら5分ぐらいするとええ味が口に残るんです。そうすると余計美味しくなる。ちょうど詩仙堂や曼殊院をまわっているうちに、口の中の味わいが豊かになっていくんです。ですから、うちはお茶をださないんです。本当は間違った接客ですけど、昔からそういうことをやっているので、私の代もこれで通してきました。

また、お客さんがきても「沢山買ってくれ」とは言いません。美味しいもんは、ちょっと食べてもらって、「もうちょっと欲しい」となった時になくなる方が後をひくんです。私のとこは、一番小さいやつが500円、次が1000円、1500円、2000円という4種類あります。買ってほしいのは、一番小さい500円のやつです。これやったら、食べてもらった人が「あ、うまいな」と思った内になくなるんです。遠くにいる人は、食べ終わったら「送ってくれ」って電話をしてくれる人も沢山います。けれど理由をちゃんと言って断っていると、雲母坂を登って漬物を買いに来てくれるんです。そうしてもらった方が、値打ちがあるじゃないですか。それに私もうれしいんです。まあ、変わった漬物屋やとは、自分でも思ってますけどね。

Q、店を大きくせずに、長く続けるための工夫や自分に言い聞かせていることはありますか?

私は、「店を大きくするな」というのは親父に言い渡されたんです。「二足の草鞋を履くな」と。一つしかできないものを、五つも六つもやるな。五つやったら四つは失敗するんです。漬物でもそうです。うちは雲母漬ばっかり専門でやっています。

父親からの言葉を守り、自分を戒めるためのものは、色々ありますね。例えば、店の中に僕は滝を作ったんです。そこに沢蟹の置き物を置いています。蟹というのは横に動くじゃないですか、商売も同じで横に歩かないと駄目だと思うんです。店を大きくしようとか、商品を増やそうとか、地方発送をしようとか、縦に動いたら駄目だと思うんです。ボチボチ行くのが、商売を成功させる秘訣やと思ってます。

あと、後継者を育てることも大切なことやと思っています。私は、息子達には大学院まで行かせました。私自身は、幼稚園を3日しか行ってないんです。そういう学歴の部分で大変苦労した。やっぱり「漬物屋やから知識がいらん」っていうのは間違いやと思います。大いに外の世界を見るべきやと思います。けど、それだけじゃ駄目です。息子が私たちの後を継いでくれるように、赤ん坊のころからご飯食べる時に、「お前は大きくなったら漬物屋になれよ」って口をすっぱくして言っていました。

漬物を試食してもらう時に出すお皿なんですが、私のとこは葉っぱを使っているんです。これは“譲り葉の木”という種類の葉です。新しい葉ができるまで古い葉は頑張って、新しい葉ができるとポロリと落ちるようになっているんです。代々譲るといって大変縁起のいい植物やと言います。息子が一人前になるまで頑張って、一人前になったら枯れる。自分が後継者を育てるのはもちろんですが、息子も孫をしっかりした後継者に育てて欲しいという想いがありますね。



[雲母漬老舗 穂野出]

京都市左京区一条寺谷田町43
TEL:075-781-5023
9:00AM〜5:00PM
無休

 
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雲母漬
雲母漬
田辺正さん


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