真剣な会話
Q. 今、森本さんがつくるラーメンに込められている思いとは何ですか?
ラーメンって、すぐに出てくるしすぐに食べられるから手軽な食べ物というか、ファーストフードっていうイメージが強いでしょう。でも、さっきも言ったように一食に変わりはない。先付けから始まって、椀物、煮物…最後はご飯で締める懐石料理も、ラーメンも、同じ一食なんですよ。だから僕はラーメンという一見ファーストな食べ物だけど、きっちり一つの料理として成立するものを作っていきたいと思っています。それにはきちんとした食材が必要だし、おいしく食べてもらうために必要な手間ヒマは惜しみません。特に食材に関しては、育った環境もあってか、誰がどんな風に作ったかわからないようなものは嫌で。完璧に全てとまでは難しいですが、米は実家のものを使う、野菜も信頼できる農家さんから無農薬のものを買うなどして、可能な限り体に安全で、安心なものを使っています。食材を生かすための下処理もきっちりと行う。
でもそれは全然偉そうに言うことではなくて、当たり前のことなんですよね。残念ながら最近は当たり前という感覚を持たない若い人が増えていますけど。スタッフの中にも、体のため、おいしく食べるために必要な手間がちゃんとかけられたものをあまり口にする機会のなかった子がいることがありますが、そういう子に僕のラーメンに対する思いをわかってもらうのは難しい。東龍を始めて、しばらくは技術ばかり教えてたんですが、どうしても僕の思っている味にならなくて毎日怒鳴ってました。今考えてみると育った環境が違うのだから、技術の前に僕のラーメンに対する、食に対する思いをきちんと伝えなければいけなかったんだと思います。今は技術よりも一食に込める思い入れとか、安心な食材を使う意味、手間をかける意味といった精神的、本質的なものを教えていくように心がけてます。咋年の秋にはその一環として、うちで使っている米の稲刈りにスタッフみんなで行ったんですよ。
最初は自分を表現したくてラーメンの世界に入った。今でもその欲求はありますが、それ以上にラーメンを通して、ファーストな食べものに偏りがちな今の人たちに「いいもの」を知ってもらいたいとう気持ちが出てきました。まずは身近にいる人たちにわかってもらって、できればその気持ちを引き継いでいってほしいですね。
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