真剣な会話
あなたは、雛壇の5人囃子をすべて答えられますか?
あれは、能の舞台の囃子方を表しています。謡、笛、大鼓、太鼓そして小鼓。
肩の上に鼓を載せて「ヨーオッ」という掛け声とともに、「ポン」と鼓を打つという、一番イメージのしやすい楽器、それが小鼓。しかし、それでいて打楽器としては特殊な性質のものです。
まず適度な湿気を好み、乾燥を嫌う。そして、高音、低音とが出せる。実際に打ってみると、あまりにもままならない難しさにびっくりしました。
よく知っているようで知らない和楽器、小鼓。
実際に能舞台で囃子方としても活躍し、さらには「町家de鼓」という教室を京都で開いておられる古田知英先生にお話をうかがいました。
Q. 古田先生が、京都で小鼓を始められたきっかけは何ですか?
父が小鼓をやっていることもあって、幼い頃から地元、福岡の幸流の家元の下で習い始めました。小鼓には、子供用はないんです。だから大人が使用する通常の小鼓を、サイズがあわないながらも周囲の大人に支えてもらいながら練習していましたね。
習いはじめは、「やらされている」感はありました。でも、やっていく中で次第に面白くなってきて…大学卒業というときに就職ではなく、小鼓の道を選んだんです。
26歳のとき、能楽協会の神戸支部に呼ばれて、京都で曽和先生の内弟子になりました。その曽和先生と町家庵のアレックス・カー氏とが知り合いだったこともあって、私も彼と顔を合わせるようになったんです。
一昨年に、彼から「町家で小鼓を教えてみませんか」と誘われて。自分もまだまだ修行中の身であるから、と躊躇しました。でも「伝える、教えるということも修行の一つだ」と思いなおして、「町家de鼓」の教室を始めることにしたんです。
Q.実際の反響はどうですか?
最初は、生徒さん一人からのスタートでした。和楽器に興味をもっていても、やはり日本の伝統芸能なんだから敷居が高いというイメージがあったり、どこで習えるのかということが分からない方が多いようで、雑誌や新聞で取り上げていただくようになって、だんだん生徒さんも増えてきました。今では、日本各地、たとえば東京から来られる方もいます。
やっぱり日本の伝統文化の息づく京都で、伝統芸能が習える。それが魅力なんでしょうね。もし「神戸de小鼓」だったら、ここまで人は集まらなかったと思いますよ。
また、年に一回、生徒さんの発表会として舞台で打ってもらうのですが、能の舞台は生モノなので、普段感じられない緊張が味わえます。それがあるから、もっと続けていこうという気になられるようです。
Q.小鼓の魅力とは何ですか?
実際やってみられるとわかると思いますが、一見簡単なようでとても難しい楽器なのです。それが小鼓の奥深さであり、魅力でもあると思います。
まず、調べ紐をきつく握ったり、反対に弛めたりすることで高音、低音を出し分けることができます。
また、普通の打楽器とは違い、湿気を好む性質があります。日本の風土に適した楽器ともいえますね。ただ、舞台で演奏するときには空調のせいで、乾燥しているので、皮に息を吹きかけて微妙に調整したりもします。単純に、「打てば鳴るもの」ではない、それが小鼓の奥深さです。
舞台では囃子方が声をかけ合っていますが、あれも適当にやっているわけではなく、ちゃんと譜面で指示があるんですよ。掛け声も同じくBGMの重要な役割をしているのです。
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