2008年3月 5日

気持ちが生むもの

こう、なんていうのでしょうか。

おいしいものの紹介記事を書いていると書いているうちに
どうにもこうにもソレが食べたくなってしまいます。


基本的に、原稿は取材で食べたものを
思い出しながら書きます。

取材先で出されたものが
おいしければおいしいだけその味は鮮明だし、
書いているうちに味が舌に蘇ってくるので
そのうち辛抱たまらなくなって
「今日のごはんはこれしかない」
という気分になります。

けれど、お店の定休日とか
終業後じゃ閉店に間に合わないとか
距離が遠すぎて行けないとか
そもそも自腹切って行ける値段じゃないとか

いろんな理由で、実際には無理なことが多いです。

 

まさに今日、というかたった今、
私はその状況です。

行きたくて仕方ないのは
「祇園 開陽亭」。

洋食がまだ珍しい大正4年からお店を続け
現在お店を切り盛りするのは3代目。

「それを求めてやってくる人がいる」ため
初代の味を守り続けるように意識しているのだとか。

花見小路近くに店を構え、
お茶屋関係の人々のごひいき店でもあります。


取材で食べたのは、置屋や楽屋に
仕出しをすることが多いという「洋食弁当」。

三段のお重にきゅうと入った
エビフライやコロッケ、テリヤキビーフなどのおかずは
おちょぼ口でしか食べられない舞妓ちゃんのため、小さめのつくり。

温かいうちに食べてもらうことが少ないという理由から
冷めてもおいしいものをと、
フライなどはあっさりと仕上げられています。

これがね、おいしかったんですよ。

あっさりしたフライは、衣が軽くてやわらかい食感。
味つけは軽くて、その軽さが素材のおいしさを教えてくれます。
扇型に型どりされたごはんの上には、ステーキ用のお肉を
ふりかけに加工したもの(もちろん自家製です)がかかり
小さなところにも手を抜かないご主人の心意気にやられました。

お弁当って、手軽に食べれて忙しいときや時間がない時に
重宝するのですが、逆をいうとそういうときにしか
進んで食べないものだと思うんです。

誰だって熱々のおかずを食べたいし、
ごはんはふんわりお椀に盛られたものがやっぱり嬉しいでしょう。

けれど、ここのお弁当は
ちゃんと時間があるときに、ゆっくり食べたくなります。
(というか、今すぐに食べたい)

「忙しい舞妓ちゃんでも、
ちゃんとおいしいものが食べられるように」
きっとそういう愛情が生んだお弁当なのでしょう。
気持ちがおいしいものを生む。まさにこれです。

祇園 開陽亭

http://www.gion-kaiyotei.com/
東山区祇園町南側570-120
(花見四条下がって、3筋目を西へ)
075-561-6451
火休

(Text by Ryoko Horike)
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