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PATCHWARE ON DEMAND〜supported by landport〜
「空間」とか「空白」を聴く。新しい遊びがここに。
たくさんの人でごった返す会場。人をよけながら音の鳴る方へ行く。それはそれはとても不思議な感覚で、まるで導かれていくように…奥へと進んで行ったのだった。

世界中から前衛的エレクトロニカ・アーティストたちが集まっていた。フロアを熱狂させるビート、かと思えば、聴きながらその場で本でも読めそうなくらいリラックスできるリズム…さまざまに形容できる音楽。エレクトロニカという一つの世界の中で、音楽が人の手を離れて自由になった気がした。鳥のようにどこへでも飛んでいける可能性を孕んでいた。音楽が生きていた。中でもエレクトロニカのサブ・ジャンルとされる、ミニマルに「生(せい)」を感じた。

…「ミニマルとは金持ちの音楽だ」、と誰かが言った。それは、キャンパスに重ねた余分な油絵の具を洗い流すように、たとえ元は意味のあった(良い)音でもその多くを削ぎ落とし、選りすぐられた極少ない音で一曲を構成するからだ。

ミニマルの中には、途切れそうなリズムの連なりがある。時間が止まっているような連なりで、「空間」とか「空白」という言葉がしっくりあてはまる。その空間とか空白に、先に書いた「生」を感じる。だが、ほとんど何も鳴っていないのにどうして感じるものがあるのか。

それは、蟻が大きな昆虫の死骸を運んでいる様子や、蝶々が花の蜜を吸う様子、胎児の拍動といった至極小さい単位のものが何かしらアクションを起こした時に、信じられないくらいその命が大きく感じられる感覚と同じ。ミニマルの変化は、まるで小さな命が息づいているようなのだ。かすかな息吹に、ハッとさせられる瞬間が幾度もあった。

どのように息づくかは人によって異なる。ミニマルという抽象的なリズムの重なりは受け止める側によって解釈がどこまでも変わってくるのだ。この夜は、いつも以上にお客さんがフリーだった気がした。リズムからそれぞれの想像力を膨らませて遊んでいる感じ。幸い京都では、寺や美術館でもミニマルのイベントが開催されている。新しい遊び感覚をぜひ。…さて、京都が誇るミニマリスト、PsysExの糸魚健一氏にインタビューした。ゆったり聞いていただきたい。


__“PsysEx”と書いて“サイセクス”と読みますが、名前の由来を教えてください。

これは、ばらばらに意味があるんですよ。Pは<ポリリズム>、sysは<システム>、Exは<エクスクルーシブメッセージ>です。直訳すると多重リズム システムの特別なメッセージ(笑)。ポリリズムの語源はアフリカのパーカッションの多重編成です。もともとSysExは、シンセサイザーの制御コードとしてある言葉でもあります。

_二重の意味ですか。重なりを意識していますね。何にインスピレーションを感じでつくっていますか?

インスピレーションを感じるとは言わないかもしれないですけど、僕はリズムを重視してつくっています。

_リズムを?でも、糸魚さんの曲は、リズムというか流れていくような音楽ですよね。

笑、そうですね。何ていうか、ノアンビエンスの揺らぎもピッチをもっています。これもリズムととらえています。同じ、もしくは異なったピッチのアンビエンスがハーモナイズをなしていたらポリリズムと考えています。

_糸魚さんの音楽はミニマルだと言われていますが、ミニマルって何ですか?

ミニマルといっても幅広いですからね(笑)。ノイズやマイクロミュージック、テクノ、フィールドレコーディング、ドローン、生楽器を用いた現代音楽、 ジャズなんかも含まれますよね。僕が取り組んでいるのは静寂の中に突飛するもの程度のミニマル感、あたりですかね。

_どうしてミニマルなんですか?

音数が少ないものが好きだからです。音楽もたくさんの音が重なり合ったものはインパクトがありますけど、僕はそういうのを目指さなかったんですよ。ミニマルは、たまにピコッて(笑)。何もない瞬間を聴いてほしいですね。

_では、ご自分でどのような音楽をつくっていると思ってますか?

ポピュラーミュージックを意識してやってるつもりですよ。音楽は幅広く聴いてるから、自分がやってることとそういうものとは結びついています。音の成り立ち、曲の展開、構成はポピュラーミュージックのそれから大きくは外さないつもりです。長い歴史の中で、ポピュラになった音楽ですから、生理的に楽に聞けるということは、大事な要素ですよね。でも、いままであるカテゴリに後乗りで乗っかりたくないので、聞いたことの無い音を作りたいです。でも、ポピュラーミュージックの要素は意識するって感じです。

僕は自分のことをアーティストだと思ってないです。アーティストやプレイヤのように感情表現をすることができないからです。電子音楽を移用するポピュラミュージックの研究者だと思っています。感情表現や演奏技術無いですが、アイディアとツールと少しの知識があるからだと思います。

_なるほど。ところで、糸魚さんは始めてMETROでイベントをしたことを覚えていますか?知名度が高くなった今、その頃を振り返ってどう思いますか?

テクノバー303(TB303)です。1回目は1996年ですね。当時、[METRO]ではテクノイベントやってなかったんですよ。初めての時は緊張しましたよ、伝統的なところだからこそね。今では源流となるようなイベントに参加できてよかったと思うし、イベントする時の喜びっていうのは今も変わらないですね。

_どんなイベントをしたいですか?

まずはエレクトロニカを大勢の人に知ってほしいです。そして、こっちが押し付けるのではなくて、いっしょに楽しめるイベントをしたいです。パーティーの基本を忘れたくないですね。

_4月25日には『morr music Japan tour in kyoto』がひかえていますね。

そうなんですよ!ドイツのレーベル・morr music来日します。ISANっていう僕が大好きなイギリスのユニットも出ます。彼らは世界でも有数のエレクトロニカのレーベルです。情緒的な ISAN、最近はポップなSTYROFOAMがライブしてもらえます。いいイベントになると思うんで、ぜひ来てください(笑)。


PsysEx(糸魚健一)プロフィール
PsysEx (Ken'ichi Itoi(12k),ryoondo-tea,shrine)

エレクトロニカファンクネス。サイレントと破壊を大胆に行き来する。アルバム'polyrhythm_system exclusive messege'はエレクトロニカとしては異例の大ヒットとなった。先頃発売の12k(NY)の2枚組コンピtwo point twoに参加。12kからは2004年アルバム'psx'をリリース。涼音堂からの天才的新人firoを発掘、リミックス曲の提供でも話題。関西エレクトリックミュージックショウケース的イマジンドレコーズのコンピに参加。自身のレーベル'shrine'で世界に京都の才人を紹介。自身のパーティ'patchware on demand'で京都に世界の才人を紹介。
 

discography
'two point two/v.a.'
(12K1026/12k,LINE_016/LINE)

'polyrhythm_system exclusive message'
(DES014/ryoondo-tea)
and more...

ライブ予定
4/25 morr music japan tour in kyoto
@METRO
w/isan,styrofoam,thomas morr
5/22 kyoto art meeting 2004
@誓願寺
5/30 UV
@METRO
6/1 audio forma presents Berlin Electronic Modern京都
@京都ドイツ文化センター
w/レッヒェンツェントルム(mille plateaux/kitty yo) ヘルマン・ウント・クライネ(CCO/morr music) クリスティアン・クライネ(CCO) スタティック(CCO) スケッチ・ショウ(daisyworld discs) 黒川良一(PROGRESSIVE FOrM/daisyworld discs)
6/4 jaz'tsukion
@etwon
6/18 forma...
@西麻布bullets
今夏、大規模エレクトロニカフェスティバル企画中です。

 

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