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cool to kool
吸収された音楽は、独自の表現となり放たれる。空間を支配する極楽のBGM。
某CDショップ。この間、試聴機の前で過激に踊る一人の男性を目撃した。その激しいダンス故に、何度も後ろを通り過ぎる人にぶつかりそうになりながらも、彼は勇敢に踊っていたのだった。

「ここはクラブじゃないんだぞ!」とCDの角で「CDチョップ!!」と大声でツッコミたくなった人が僕の他に何人かいたのは確かだった。が、ツッコまなかったのには理由がある。僕は彼の気持ちが物凄くわかったのだった。

視聴して帰ってくるという賢いCDショップの利用法をしている僕が、いつも気をつけていることは踊り出さないようにすることだ。そこで冷静にならなかったら彼のようになってしまう。でも、彼に対してツッコミ願望とともに尊敬の念さえ抱いてしまったのも事実。CDとヘッドフォンで、あそこまで(ホントに凄い!周りが大迷惑な軽いフットワークと、移動範囲が広すぎるダンス!オーイエ)クラブの「感じ」を演出できる彼とその非冷静的な判断力に拍手を送りたい。ただ、「クラブ行ってやれよな!」

彼が聴いていたCDが、JAZZTRONIKだったかどうかは定かでないが、僕にとって試聴機の前で思わず踊り出しそうになってしまった思い出のCDがJAZZTRONIK『Horizon』なのだ。

でも今日はそれで満足してる場合じゃない。なぜなら御存じJAZZTRONIKがメトロにやって来るのだ!もちろん行かない訳にはいかんやろ?行ってきましたYo!そしてイッてきましたYo!

さてさてJAZZTRONIKはアルバム『七色』がリリースされたばかり。メトロには人がわんさかわんさかわっしょいわっしょい状態。葵祭はまだ早いのに、こんなに人が集まって良いものなのか。JAZZTRONIKの幅広い人気を裏づける光景だったことは確かだろう。人ごみのぎゅうぎゅう感が嫌いな僕は、やっぱり頭が痛くなってしまった。頭痛薬を持ってこなかったことにただただ後悔。

それでもやってきた我らがスター、JAZZTRONIK。なんとかレンジャーのステージのごとく、わくわくどきどきだった。そういやこういうの、久しぶりやな。いやいや、そんなのはどうでもいい。とにかくJAZZTRONIKの出番なのだ。ステージに目が釘づけ、それは無理なことだった。僕の目前には無数の頭。そのくらい人がいる。それらがウオーウオーって。これはたいへん。もう頼るのは音楽だけだ。目をつむって、耳に集中。JAZZTRONIKの音楽を聴きに来た訳やし、ね。

JAZZTRONIKが医者になってしまうなんて。天国系のピアノのリズム、それが頭痛の麻酔になってしまった。そしてメトロは踊り出した。心地よいピアノにボーカルMyeの歌声が絡まって、もうここは天国。看護婦だとすれば言うことなしのサポートぶりだ。こんな病院がどこにあるだろうか。

正直JAZZTRONIKの生演奏にはやられまくりだった。この独自の疾走感は何だろう。完璧と言っていいほどのクラブ対応音楽。単調なリズムが基盤の時も、はっきりとした展開でフロアを爆発させる力と退屈させないストーリー性がある。試聴機なんかより、何倍も感動したし、踊りまくった。全然ジャズジャズしていないのに、ボーカルものが上質でオシャレ。ボサノヴァやハウス、POPなどの新しい解釈を発信するJAZZTRONIK。もう頭が上がらない。揺らす頭も止まらない。

昨今のジャンルレスな音楽ブーム。この人達は飛び抜けているかもしれない。というかJAZZTRONIKをそのブームの流れで語ることはできないんじゃないか。それほど切磋琢磨して生み出された音楽だと感じる。ジャンルを全く気にしていないようにも思う。この音楽をJAZZなんて言ったら、黒人は「NO」と言うかもしれない。それがどうした?大体、輸入音楽をただ広めるだけなんて遣唐使みたいじゃないか。

フロア対応で、J-POP対応。それがJAZZTRONIK。そんな定義もいいじゃないか。僕が定義するのは気が引けるが、帰っていくお客さんはみんな笑顔だった。たくさんの笑顔のためにこの時間はあったのだ。自己表現が基盤にあっても、JAZZTRONIKはしっかりとリスナーの事を考えている。定義にも邪魔されず、切磋琢磨を続けていくJAZZTRONIKの音楽はいつもハッピーでピース、それ以上にフリーダムだ。


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