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Asian Cruiser 4
音は視覚で捉えられる。もっとリアルになる音楽
「音楽でテレビを光らせるんですよ」

え?それってめちゃ楽しそう…。

音楽でテレビを光らせるなんて言ったのは、実験音楽ユニットTELE-econosysの杉山だ。初めて聴いたことだったのでとにかくワクワクした。死語でも何でも使っちゃえ、ワクワクドキドキしたのだった。

去る4月24日、そこはいつもの拾得じゃなかった。紙垂(しで)がぶらさがり、きつねのお面をかぶった浴衣姿の男たちがいた。ヤバ目。これがTELE-econosys?

そして人知れず始まった音と光の共演。白くて柔らかくてサラサラした生地のカーテンに覆われたステージから聞こえてくる音の粒。ポッチョン、ポッチョン…、しん、と静まり返った場に、古い丸甕に雫がしたたり落ちるような音が響く。耳を澄ませば聞こえるくらいの小さな音の粒は、ひと粒ずつがたっぷりたっぷり響いている。それは余韻を残すほど。

音に誘われて、テレビが白く明滅する。銀色味を帯びたそれはちょっと幻チック。音の響きや数、大きさによって明滅の仕方が変わる。音が息を吹き込んでいると思ったら、妙にリアルな光景になった。音楽は身の回りにあふれていて、あって当然のもの。だけどたまに、音楽に救われる。そして、音楽があってよかったって思う。“音楽に生かされてる”ってのは大げさな言い方でリアルじゃないけど、でも本当はそう。音を視覚で捉えることによって、それをリアルに感じた。

目をつむると、ささやかな音だけが耳に残った。まぶたの奥では、やわらかい明滅をかすかに感じ取った。感情は揺さぶられないシンプルな空間。音も明滅も無くなってから、薄暗い空間にまた紙垂が浮かび上がった。何か、全部夢だったような気がした。


__TELE-econosysの由来からお話しいただけますか?

加藤:もともとTELEという一人ユニット(杉山)と、econosysというユニット(加藤)があって、ま、二人でやろうかってことで、安易に名前をひっつけただけです。

__エコノシスって何ですか?

加藤:まじめに答えたほうがいいんかな(笑)。えっと、エコノミーなシステムですね。

__テレは、テレビのテレ?

杉山:ええ、いろんな意味があるんですけど、テレビジョンとかいろんな意味のテレですね。

__どうして音楽でテレビをつけようとしはったんですか?見た目地味じゃないですか。ガンガンいかないし、みんな静かに聴くスタイルじゃないですか。どうしてそういうスタイルがよかったのですか?

加藤:どうでしょう。音をドーンと聞いてくれというよりかは、その空間を聞くというか、体験してもらいたいっていうのがあって、やんね?

杉山:はい、そうですね。

__ご自分たちでやってはって、どんな空間をつくりたいですか?こんな空間がいい、とかいうのはありますか?

加藤&杉山あーー。

加藤:何でしょうねえ。いろいろあるんですけど、ひとつは、神経が研ぎ澄まされてくるような感じというか。どうですか、杉山氏?

杉山:人間の感覚の世界の話ですよね。

__何かからインスピレーションを受けてつくるのですか?

加藤:僕らはかなり即興演奏に近いので。…即興じゃないところもあるんですけどね。

杉山:即興演奏を主体にしてやってるわけで。

加藤:うん。特にこんな曲がいいよね、とかははなくて、やってて感じるっていうか。しかも、その音というより全体の光と音の加減がいい感じを探してますね。“ああ、こんな感じいいよね”とかいってやる感じでしょうか。

__聞いてて、気持ちよかったですよ。光量と音量のバランスがすごく繊細だと感じました。ピコピコンって音に光が合わせて光っていて、空間が生きてるみたいでした。どうしたら音でテレビが光るんですか?それは秘密ですか?

加藤:いや、これはカールステン・ニコライっていう人が、ちょっと年代は忘れたんですけど今から4、5年くらい前にやってたことで。音声信号を増幅して映像信号に入れる、とすると模様が見えるということですね。

__そっちの方は勉強されてたんですか?

加藤:いやいやいやいや。そのカールステン・ニコライの作品を見て…どう言ったらいいのかな、その作品は電気信号による模様を表現する作品だったんですけど、僕らが見てるうちに、“光の明滅が美しいぞ”ということに気づいて、で、部屋を真っ暗にしてやってみようかと。

__音によってテレビが光るっていう空間を、私は今回初めて体験したわけですが、どう見ればいいのか初めはわかりませんでした。家でテレビが明滅していたらうっとおしいけど、音が入って…うん、たぶん音と光とのバランスがよかったので、すごく気持ちよく聴けましたね。って、こういう聴き方してもいいんですか(笑)?

加藤:あー、ありがとうございます。それでいいんです(笑)。そこにいるだけで何か気持ちいいとか、何か普段ない感じ、とかでいいんです。音がどう、光がどうっていうのはあんまり…あるといえばあるんですけど、そこにいてくださる人はそれでいいんです。僕らは空間を提示するだけで、あとはその中で好きなように過ごしていただければいいので。

__これからこんな風にしたいな、とかありますか?

加藤:テレビ2000台くらいでやりたいですね(笑)。

__笑、どこでやるんですか?

加藤:場所はどこでもいいんですけど、目標2000台くらいで(笑)。

__これからも京都で活動していかはるんですか?

加藤:京都ですけど、呼ばれればどこでも行きます(笑)。




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