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おのぞみドットコム >昭和・平成、音故知新>清水音泉開湯記念 NESCAFE Presents『スネオヘアーライブツアー2004』〜スネオヘアーを信じるな〜  |  僕は「スネ夫」が心の底から嫌いだった。『ドラえもん』を見終わっていつも僕の頭に残ることは、ドラえもんの道具でもしずかちゃんの入浴シーンでもなく、「スネ夫」の性格の軽薄さだった。 『ドラえもん』ではほんのちょい役の「スネ夫」。その弱すぎる存在感ながら、ドラえもんではレギュラー出演を果たしている。彼の存在は重要なのか。考えてみてほしい。隣に「スネ夫」のいないジャイアンを。ジャイアンにスネ夫がいなければ、ジャイアンのあの威勢も、過信も、権力も、そしてあの公害に等しい歌声も生まれなかったのではないか。要するに、あそこまで調子に乗ることはなかったのではないか。僕の出した結論はこうだ、実は「スネ夫」が一番の悪党だ。 それと反対に、僕は「スネオ」が心の底から好きである。ライブを見終わって僕の頭に残ったことは、きれいなメロディ展開と歌詞の世界観、そこから生み出されたイメージだった。 今ここに「スネ夫」と対極に位置する「スネオ」がいる。ちょい役でもなければ、手下でもない。表現者でありメロディメーカーにして、ポケットからいろんなメロディを出す、ある種「ドラえもん」的存在でもある。だからと言って、「スネオ」の存在はそんな『ドラえもん』的な位置ではない。この世界には「ドラえもん」がいないし、なんといっても「ジャイアン」がいない。おかげで、「スネオ」は自由に羽ばたく一人のシンガーだ。現代に個性を露出する「スネオ」、正式には「スネオヘアー」。 今日はその「スネオ」が京都にやってくる。磔磔に入れば若い感じの女性たちが大勢、それはそれはずらずらと、そわそわとしており、ジャイアンの姿はなかったが、男性の姿もあった。 そういえば、今日はロックの日である。最高の夜にならなくてはいけない。決まっている。毎年そうやって過ごしてきた。今年はスネオヘアー。申し分ない。もったいないぐらいだ。会場の皆もそんなことを思っていただろうか。とにかく、忘れられない夜を皆が欲している訳で、その欲求はスネオヘアーにしか満たせない訳だ。 「スネオ」は駆け足でやってきた。ここはあの公園ではないが、陽気に駆け足でやってきた。あの土管も今日はドラムセットだ。ジャイアンも嫉妬する歌声で、しずかちゃんたちをうならしてやってくれ。今日は野球をやめて、大声で主張してくれ。 ノンストップで加速していく磔磔を、誰も止めるはずがない。「スネオ」は本当に気持ち良さそうに歌う。そして気持ちよく聴く観客がいる。それだけでこの空間は完成しているのだ。気持ちを吐き出す人がいて、それを吸収する人がいる。こんなキャッチボールがライブというものだろう。放たれた魔球は壁にぶつかり分裂して、皆のハート型の心臓に吸収され、脳みそで停止、そして膨らんでいく。 スネオヘアーの楽曲は、ジャンルとか下馬評なんていう邪念を意識せずに聴くことができる。だから今回はそんな話で終わらせたくない。音楽は本来そういうものだと思うからだ。 明らかだったのは、独自性が顕著だということだ。脳みそを音楽表現に模写していく過程が、想像できるような音楽だ。脳みそは明らかに独自なものだし、スネオヘアー自身の感情があからさまに露出するような表現である。そのぐらい自分の身に引きつけてできた楽曲だと感じる。音楽は彼にとって本当に唯一の手段なのではないか、とまで思ってしまう。それほど正直で素直に作られた曲たちだろう。 分かりやすい歌詞でも、多様な解釈の余地がある。その歌詞の可能性ははかりしれないほどの領域を持っているように思う。そしてメロディの展開が、一貫してスネオヘアーらしいところだ。ひねりのあるメロディで、何度鳥肌が立ったことだろう。単調なメロディを嫌った展開が、歌詞に説得力を含ませる。 そんな歌たちが僕の目の前でさらされている。僕の頭はパンクどころか爆発しそうになっていた。一人の生きざまを、直球で投げられているのだ。突きつけられた直球を受け取って、さあ、次は僕の番だ、とそのような自覚も同時に経験する。 すべては音で放たれた。僕の耳はそれを受け取って、今、そんなことを考えている。耳からの情報で、これほど体が動いたことはなかっただろう。リズムを体全体で刻み、頭は音と詩の世界に巻き込まれる。そして、僕は歌を描いた。それを消したり、膨らませたり、忙しかったのだ。これらは全て明らかにスネオヘアーの仕業である。 スネオヘアーは、駆け足で消えていき、ライブは終わった。 そして今、僕のウォークマンにはスネオヘアーがいる。残像を噛み締めて、聴いている。想像を重ねて、聴いている。何度も、何度も、聴いている。 スネオヘアーoffcial web site http://www.suneohair.com/  | __スネオヘアーさんのプロフィール見て驚いたんですが、芝居してた時期があったそうですね。今になってその経験は音楽に活かされてたりはしますか? そんなに関係してはないと思います。もう忘れたいぐらいの感じですね。3年間ぐらいやってました。でも、アングル的なものではすごく影響してると思いますよ。モノの見方とかね。強いメッセージがあって、例えば、「愛を歌う」みたいなときに、「愛してる」の連呼で済む話じゃないと思うし。カメラでレンズを通して、なんの変哲もない街のアングルとか、そういう感じでイメージして曲を作っていったりするんで、そういう意味では、関係してるのかもしれませんね。芝居やってる時は結構映画とかも見ましたし。 __でも、どうして音楽を選んだのでしょう? いや、芝居は向いてなかったんでしょうね。決まったことが言えない人だったんで。 __今日のステージ見てて、喋りが上手だしグイグイ引っ張っていく感じだったので、そういうのはやはり芝居の経験からかなあ、と思ってしまったんですが。 全部クスリの力で喋ってるんで(笑) __そうなんですか(笑)スネオヘアーさんの音楽って、メロディにしろ歌詞にしろ、独自な世界観があると思います。他のアーティストに比べて、曲ができるまでの過程が知りたくなりました。教えてもらえますか。 ベタですよ。深い所は自分の為に曲書いてますね。例えば、好きな子がいて、その子のために、とか。やっぱり人に向かって曲は書いてないです。最近は少しづつ変わってはきてるんですけど、根本的にはそうですね。自分の為に書いてます。 __意志の確認みたいな感じですか? そうですね、それで自分が救われるっていうか。例えば、なんか頭軽くキちゃってる子が、日々日常に思ってることを2つのノートで、例えばあいつむかつくとか、いつか殴ってやるみたいなすごい主観で思ってるものと、もっと客観的に自分を見たものと、同軸に見ている、そういうノート作ったとするじゃないですか。言ってみればそういうカタチでしょうかね。 __それにメロディをのせるという感じですか? そうですね、それで自分が割と救われたり。そういう感じですね。 __スネオヘアーさんの音楽って、歌詞が本当にきれいにメロディに乗りますよね? メロディはね、僕、歌謡世代なんで歌モノっていうかメロディ好きなんですよ?歌詞が染み込んでるんですよ、歌にね。 __そうですか。歌詞に含まれてるメッセージ性、それだけが強くてもダメだし、メロディとのバランスっていうか、そういうのは大事ですよね? そうそう、音楽ってそうだと思うんですよ。メロディが素晴らしいものであれば、例えばストリングスだけでもオッケーだと思うし、でも歌詞もすごく詩の世界が素敵だとして、それだけでもオッケーだと思うんですけど、それだと音楽がもったいないですよね。詩とメロディを合わせた時に物凄いパワーっていうんですか、ものすごくグッとくるような、そういうのをいつか作ってみたいなと思って…普通にやってます。 __今日のライブ見てて本当に気持ち良さそうだなと思いました。吐き出してる感じが伝わりました。久しぶりに感動しました。 そうですねー、自分の為に歌ってますから。 __結構ポジティブな曲が多いと思います。それは意識してらっしゃいますか? んー、シングルとかはあまりネガティブな曲だと、「おいおいちょっと待ってくれ」とか言われるんで。でも両軸なんですよ。常にネガティブな人間ではあるんです。ネガティブだけど、ちょっとぐらい光を持たしてあげたいというのがあるんですね。ホントは屈折してるんで。端々からそういうの出てると思うんですよ。だから、今回のツアーも「スネオヘアーを信じるな」とかって、ね。 簡単に伝わるのに、でも簡単に伝わらないことってあるんですよ。やっぱりそれが社会だと思うんです。俺、別に自分の泣き節分かってもらって御涙ちょうだいなんてさらさら御免ですけど、でも表現を通して、そこで別のイメージで救われる人もいて、ちょっとしたパワーなんでしょうね。でも、そういうふうに聴いてくれている人もいるんで、正直に自分の持ってるものでやっていくしかないっていうか。変に元気とか勇気づけようみたいなことはさらさら考えてないですね、ホントに。自分の為に歌ってるんで。その延長というか、そこを信じてやっていくことで、広がっていくという、そこしかないですね。 __徹底的に自分の為に歌うからこそ、共感が生まれたりするんじゃないですか? もちろん自慰行為になったら意味がなくて、勝手に歌ってろって話なんですけどね。やっぱりライブやればオーディエンスに救われたりしますし。俺ももっといい音楽やりたいなって思うし。助けられたりすることはありますね。 __歌って、いいですね。 ホントいいっすね、ありがたいっす。歌に甘えてもしょうがないんですけど。 __今日のライブで「言葉にならない気持ちを大切にしてる」っていう言葉が印象的だったのですが、それは楽曲にも反映してるんですかね? そうですね、例えば「愛してる」っていう気持ちを伝える時、「愛してる」って言えばダイレクトな表現だけど、「愛してる」って言ってもその言葉から別のイメージをするリスナーがいるかもしれない。
僕はやっぱりアングルを大事にしてて、なんかこう、おばあちゃんがリアカーみたいなのを押して歩いていく住宅街、みたいなね。そういうなんともない風景みたいなイメージが、日常的でグッとくるんですよ。
__なるほど。確かにそういう描写も多いですよね。映像が思い浮かぶような。
そうなんですよ。やっぱり今も時間は刻まれているし、そんなに刹那的でもないですけど。日常の中で様々な気持ちが揺れ動いていく、というか、いろんなことがある日常の、その全体のザマが感服に値しますね。
__ところで、スネオヘアーさんは職業として音楽をどう捉えていますか?
んー、やっぱり俺達は好きなことやってそれでいいんだ、っていうのは自慰行為なんで、そうはなりたくないなと思ってます。例えば、ライブは分かりやすいです?3500円貰ったら、最低3500円分は返そうっていう。あとはそれプラス倍ぐらいの感じで返しておこう、ってね。音楽作ったりする上で、そんなことは考えてないんですけど。むしろ考えたらクソだと思うんで。もちろん、それで飯喰ってるっていうのはすごいことで、何の仕事でもそうなんですけど。仕事に対して本気で向き合ってるかどうかってことですよ。
音楽っていう仕事は、自分を出していく仕事なんで、それに嘘があっちゃいけないですね。信じれるところがそれしかないっていうか、自分があるモノと本気で向き合ってるのを出すっていうか。あとはもう、より売れていこうとか、そういう大人の話もあると思いますけど。
__最後になりましたが、スネオヘアーさんの将来の夢は?
一日でも長くミュージシャンとしてやっていきたいですね。その時その時を生きたいです。死んだら死んだで悔いは残るでしょうが、少しでも悔いがないように生きてみたいですね、やっぱり。
__今日は本当にありがとうございました。そしてライブもお疲れ様でした。ファンの皆さんに一言あればお願いします。
これからも応援宜しくお願いします!
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