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スクービードゥーTOUR2004 『Here We Do Again!』
キンキンに冷えたグラスに注ぐ黄金の液体。杯はお前ら、液体はお前らのソウル。
この晩、私は何を見たのか、聴いたのか、感じたのか。それは今でも言葉にしきれないし、だけど確実に私を興奮させている。一晩経ってもそいつは鎮まることを知らない。“踊り狂った”“盛り上がった”、そんなことを書いてもしょうがないと思う。スクービードゥーに、私は何を見たのか。そいつを書かないと、ライター人生転落したって当然だ。

「俺とおめーたちは許婚みたいなもんだからよう」

コヤマからのこの言葉が心に響いた一発目だ。ああわかっている、これはライブの勢いで口をついで出た言葉なのかもしれない。だけど言われて確かにうれしかった。酔っ払ったオヤジじゃないが、“俺にまかしとけ”って何回も何回も胸をバンバン叩いて、こっちの背中を厚い手のひらでドーンと叩く。昔くさくて温かい、赤提灯なんかぶらさげた飲み屋のカウンターの一角。あの風景が、まさにこの時、自分を取り巻いていた。何かわかんねーけど、とりあえずスクービーは自分を思ってる。それがたまらなかった。

スピーカーにガン!片足乗っけて、目はギョロっと見開いてこっちに吼える。

「メーターあがっちまったよ。キンキンに冷えたグラスに黄金の液体をついでカキンと鳴らした感じ?杯はお前ら、液体はお前らのソウル。鳴らし合ってみてーなおい!」

京都に日本を誇るブラックミュージックのレコード屋[ブラックアーク]がある。あすこで流れるLPからの黒い音は最高だ。レゲエもスカもファンクもジャンルを超えてる。超えてサイケの域にいってる。音に夢中になるほど目の前が歪み出し、すべてがスローモーションで動くんだ。スクービーもそうきた。

ブルースとファンクを根っこに据えたバンドという彼らだが、私には聴いた瞬間ファンクだとは言いがたいものがある。なぜか。それは彼らが真似事をしていないってことに尽きる。ファンクってジャンルは所詮よそのもんで、あっちのソウルまで日本人が引き継げるかっていったら怪しいところだ。スクービーはよくわかってる。日本で育った自分たちには、日本の魂しか宿らないことを。だから、スクービーのやるファンクってのはきわめて日本風。日本の魂が宿った、これぞジャンルを超えたファンクなんだ。ファンクがファンクたるゆえん、スクービーはしっかり見せつけてんだよ。

もう口とか文章とかで音楽を再生するなんてくだらないと思った。バンドがならしてる音楽にどれだけ魂が入ってるか、そういうところを生でうちらは見て、感じたいんだよね。「黄金の液体はお前らのソウル」ってよく言ったもんだ。

って、かっこつけたことばっか言ってるかもしれないけど、スクービーって大事なとこをちゃんと分かってるバンドだった。というのも、しょっぱなから全身全霊でならしてたベース・ナガイケジョーが酸欠でぶっ倒れたんだ。ファンはそりゃ驚いたけど、その時のメンバーの対応に、スクービーってほんとにいいバンドだって感じた。ナガイケに駆け寄ったりしない。“おい大丈夫かよ、早く起きろよ”喝は入れても駆け寄ったりは、しない。何をするかって?3人でできるカバー曲を始めたんだ。まずは山下達郎の「RIDE ON TIME」。それから洋楽ナンバーを2曲は歌ったか。物怖じしないMCと、堂々と歌い上げる姿に、目を潤ませたファンがたくさんいたことは言うまでもない。この夜来てくれたファンのために、ステージを成功させる。彼らはもう、それしか考えてなかった。気合で乗り切った数十分、彼らの頑丈さを見た。

ナガイケジョーが復活した時、コヤマが寄り添って肩を抱いた。拍手が沸いた。笑いも混じっていたのがスクービーらしかった(笑)。ここからはもう大変だった。パンクバンドのライブみたいに、ファンが煉るは煉るは、頭も振り回していつ押されてこけるか心配なくらい。コヤマはというと客にマイクをむけまくり一緒に吼える。閉演までもう少し。スクービーもファンも一気に駆け抜けた時間だった。

メンバーがステージから去っても、ファンの声援はやまなかった。一人マイクを握って話しかけるコヤマに「ありがとう」「イエイ」って言葉がいくつも手向けられた。「今度も待っている」という声が誰からも聞こえてくるようだった。


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スクービードゥー

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