Changing Traditions

葵祭の楽しみ方

桜の季節が終わり、次に京都人や京都に訪れる人々が心待ちにするイベントは、なんといっても葵祭。新緑が目にまぶしいなか行われるこの祭は、王朝絵巻そのものの行列風景に毎年大勢の人々がひきつけられる。
知ってから行くと楽しさが倍増する、行列の見どころやおすすめスポット。また、知っていると「通だね」といわれそうな、葵祭に先立ち5月12日に行われる神事「御蔭祭(みかげまつり)」を紹介する。

葵祭とは

葵祭が行われる5月15日には、平安時代の衣裳を着た長い行列が京都御苑・下鴨神社・上賀茂神社と、それらを結ぶ公道を練り歩く。その様子をただ見るだけなのだが、とにかく綺麗で、平安時代にタイムスリップしたような不思議な気分が味わえる京都らしい祭である。

 

葵祭は、日本で一番古くからある祭である。今から約1400年前、古墳時代の545年(欽明天皇5)、風雨が激しく、穀物が実らなかった。祭の儀式をしたところ、豊かに穀物が実るようになり、それがきっかけで始まったといわれる。何度か中断や行列の中止はあったが、その伝統は受け継がれ、現在まで続いている。

 

葵祭の行列をよく見ると、人々、牛車(ぎっしゃ)にいたるまで、すべて葵の葉で飾られているのがわかる。これこそが、はじめ「賀茂祭」と呼ばれていたこの祭が「葵祭」と呼ばれるようになった由来だといわれている。
ちなみに、下鴨神社境内の西側には、有料(500円)で公開している「大炊殿(おおいどの)・御井(みい)・葵の庭」があり、葵の庭(カリンの庭とも呼ばれる)では、葵(双葉葵)の葉を見ることができる。

※葵祭当日(5月15日)は神事が行われるため、「大炊殿(おおいどの)・御井(みい)・葵の庭」は行列が下鴨神社を出発する13時頃まで公開していません。

 

葵

行列コースと予定時刻

10時半に京都御所を出発し、丸太町通を東へ、河原町通を北へ進み、11時40分頃、下鴨神社に到着。下鴨神社内で社頭の儀が行われ、14時20分に再度出発、下鴨本通から北大路通に入り、北大路橋を通って賀茂川堤を進み、15時半頃、上賀茂神社に到着する。

鑑賞おすすめスポット


当日はかなりの人出が予想される。どこで見るかを事前に決め、行列が通る時間を調べて少し早めに行き、場所取りをするとよいだろう。

 

正午前後に行列が通る、下鴨神社境内の糺の森(参道)が一番のおすすめスポット。新緑の木漏れ日の中、王朝絵巻の雅な行列がよく映える。その他には、御所の建物や東山を背景に進む午前中(10時半〜)の京都御苑内や、15時過ぎ、賀茂川沿いの松並木をぬって北上する加茂街道もおすすめ。

 

注目すべきところ

前半の見どころは、牛車(ぎっしゃ)。俗に御所車といわれ、平安朝以来、貴族の乗用車として用いられた。種類はいろいろあり、乗る人の地位によって異なる。本行列で用いられるのは、牛車の中でも最も大型で上皇・摂関・勅使のために使われるものである。葵祭に限って、車に藤や紅梅、白梅、杜若などの造花を美しく飾る。

 

牛車

およそ1qにもおよぶ行列の中で、「いちばん位の高い人は誰?」と気になったことはないだろうか。正解は、「近衛使代(このえつかいだい)」。黒色の闕腋(けってき)を呼ばれる武官仕様の衣を身につけ、馬に乗って現れる。近衛使代は、天皇陛下より派遣される使者の代理をしている。
前を行く牛車は、もともとこの「近衛使代」のためのもの。馬に乗って行くのでもう必要ないが、行列を華やかにするために曳き出される。



 

大きい傘に色とりどりの造花を飾り付けた「風流傘(ふりゅうがさ)」、高い位の女官らに続いて、「斎王代(さいおうだい)」が登場する。

 

斎王代

 

「今年の斎王代はどんな女の人なのだろう?」毎年、葵祭が近づくと、噂好きの京都人たちの間で必ずといっていいほど会話に上がる話題である。


行列も終わりにさしかかった頃、十二単(じゅうにひとえ)を着て、お供の者にかつがれた腰輿(およよ)という輿(こし)に乗って現れる斎王代は、祭の華やかなヒロイン。毎年、いわゆる「いいとこのお嬢さん」が選ばれることもあり、注目を浴びる存在だ。今年の第52代目には、母娘2代わたって務められる森川さんという英語教室の講師の方に決まった。


行列の最後は、最も位の高い女官が乗る牛車で締めくくられる。

葵祭の前儀・御蔭祭(みかげまつり)

今年、葵祭が行われる5月15日は火曜日。平日ということもあり、なかなか見に行けない方も多いのではないだろうか。そこで、5月12日(土)に行われる御蔭祭を紹介する。

御蔭祭は、祭神の荒魂(あらみたま)を下鴨神社に迎える神事だ。 10時、御蔭山に出発する平安時代の衣裳をつけた百数十人のお迎えの行列は、日本で最も古い神幸列(しんこうれつ)(→神を遷(うつ)す行列)といわれている。

15時半頃、神社境内の糺の森で、荒魂を迎えた喜びを表す「切芝の儀」があり、舞人(まいうど)によって「東游(あずまあそび)」が奉納される。東游は、神を讃えるための舞。厳かな雰囲気のなか、優雅な舞姿が楽しめる。神にご覧いただいていることを可視的に表すために、幄(あく・仮の建物)から神霊をいただいた馬が舞を覗く。古来、神と人々は対話していたのだということが実感できる。

 

ひとやすみするなら

下鴨神社近くだったら、下鴨本通りと北大路の交差点を南に150m行ったところにある「カフェ ヴェルディ」へ。厳選された各国産のおいしい珈琲がいただける。
上賀茂神社近くで一息つくなら、鴨川にかかる御薗橋の西側を北に少し行ったところのカフェ「賀茂窯」で。陶芸もできるこのカフェは、鴨川が一望でき、ゆったりとした時間が流れる。

 

※当ページに登場する写真の無断転載はお断りします。

葵祭 開催データ

開催日時:
2007年5月15日(火)
巡行コース:
京都御苑〜下鴨神社〜上賀茂神社
アクセス:

京都御苑→地下鉄「丸太町駅」下車
下鴨神社→市バス1・4・205「下鴨神社前」(または「糺の森」)・京阪「出町柳駅」下車
上賀茂神社→市バス4・46・67「上賀茂神社前」下車

鑑賞料:
無料
駐車場情報:
西側と南側にありますが、当日は混雑が予想されるため、公共交通機関をご利用ください。
 

御蔭祭 開催データ

開催日時:
2007年5月12日(土)

9時 歓盃の儀・行粧進発
12時 御蔭神社の儀
15時半 切芝の神事(東游)

会場:
下鴨神社、御蔭神社
住所:
京都市左京区下鴨泉川町59
TEL:
075−781−0010
アクセス:

下鴨神社→市バス1・4・205「下鴨神社前」(または「糺の森」)・京阪「出町柳駅」下車

鑑賞料:
無料
駐車場情報:
駐車場は下鴨神社の西側と南側にあります。(参拝・婚礼は無料) 駐車料金 30分 150円