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建築家・隈が生んだ、浸透する表層
昭和13年竣工の旧丸紅ビルをリノベーションして完成した[COCON KARASUMA]。設計を担当したのは隈研吾。「水/ガラス」や「馬頭町広重美術館」などといった名建築を生み出してきた彼の、京都でのデビュー作品こそこの[COCON KARASUMA]なのだ。

隈の建築の特徴は、水、ガラスという要素と大きく絡む。今回もそうだ。
COCON KARASUMA
水
COCON KARASUMA 烏丸通に面した南側エントランスから入ると、まず目を引くのが壁面を流れ落ちる水。壁面(恐らくポリカーボネート)は後ろから光を当て、ぼんやりとした灯りの上を水が流れ落ちる。波打つように加工されているため、見る角度によって水の輝きが違うという演出だ。
ガラス
COCON KARASUMA

COCON KARASUMA
ファサード(正面)は一面ガラス張り。しかも唐長文様。これは正直、隈っぽくないと思う。ミニマルデザインが根底にある彼にとっては、かなり装飾を意識したデザイン。しかし、そこへ至った理念は隈っぽい。既存の壁面にプリントを施したガラスを重ねる。新しいフィルターを通して過去(古い)のものを見るというスタイル。これからの建築は「負ける建築」(建築は全てのものに負けなければならない。自然、人、街、過去の建築よりも前に出て、強固な印象を与えてはいけないという考え)だという彼の信念が見事なカタチになっている。
そして館内の天井は、ところどころ円形にくり抜かれ、トップライトが設けられている。昭和13年の建物では実現不可能だった“天井から自然光が降り注ぐ”という演出も、リノベーションならではの発想だと言える。
最後に、彼の最近の作品によく登場するルーバー(縦長の板を並べ、その角度をひとつひとつ変えることで、表面にリズムを出す手法)が、今回は見られなかったのが少し残念だ。「ONE表参道」(LVMHビル)のようなダイナミックなルーバーがあれば、もっとアクティブな印象になっていたかもしれない。

とにかく[COCON KARASUMA]は、京都っ子の賛否両論分かれそうな代物。しかし、原広司設計の犯罪級建築(?)「京都駅ビル」に比べればマシなものだろう。基本的に隈ファンの私は、彼の作品が京都に受け入れられることを祈るばかりだ。

しかし、アルネ・ヤコブセンの椅子に座ってお茶が飲める[スーホルムカフェ](館内2F)は良さそう。コーヒーが美味しければ毎日でも通いたい。

Text by 岸本 亮
COCON KARASUMA COCON KARASUMA

ショッピング「朝・昼・夕方・夜・休日、烏丸5段活用」
映画「新しい京都シネマのカタチ」建築「建築家・隈が生んだ、浸透する表層」
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