そばはすばやく、酒はゆっくり
そばを食べながら酒を飲むのではなく、酒を飲んだ後にそばで締める、というのがお酒とそばの正しい関係だ、と[にこら]でそばを食べて心底思った。そばの実をご主人自ら十割の粗挽きにし、手打ちでしかもつなぎは一切いれずに打つそばは、出前などに使われるそばほど長く持たない。5分もするとそばが伸びてしまうため、できたてをすぐに食べてほしいのだ。「こだわりとかじゃなくて、ただ自分が好きだからこういうそばを作っているだけ」とご主人はあっさり。一口食べればそばの香りや甘味がダイレクトに伝わってくる。この風味を味わって欲しくて、手間ヒマのかかる手法を取っているのだ。
ご主人と同じ世代である3、40代くらいの人にリラックスしながら蕎麦やお酒を楽しんでほしい、という思いで作られたお店にはジャズが流れ、内装は黒がベースの落ち着いた雰囲気だ。蕎麦屋としては珍しいオープンキッチンの前には、「京都は他の地域より1人のお客さんが多いと思うから」とカウンターもあり1人酒もOK。 |
つなぎを使わないそば同様、この店に置いてある日本酒も混じりっけのない“純米系”の酒が多い。自身が飲んで選んだ酒が8種類ほど並ぶが、季節によってその並びは変わる。「そばにはスキッとしていて、お酒の味がしっかりとしている酒があうと思う」と、一品料理にもそばを使ったものが多い品揃えで納得の話。一品料理は旬のものを使ったオリジナルの料理が多く、月ごとに徐々に変わっていっている。自分で作れるものは自分で作りたい、と“自家製”と書かれたからすみや鴨の生ハムなども並ぶ。
かき込んだらすぐに帰るようなそば屋ではなく、ゆっくりしてほしいと昼も夜もメニューは同じ。しかしそばだけは手早く食べたい。一品料理とお酒を楽しんだ後、ズルズルっと素早くそれでいてしっかりとそばを味わう。それがこの店の正しいスタイルなのだ。 |
ざるそば 900円
おまかせ蕎麦コース 3500円
純米酒秘傳竹鶴 700円 |
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