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木下 昌輝 |
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【5月9日】
ちょっと古い話ですが、3月10日、スポーツ新聞を読んでいて腰を抜かすような衝撃的な記事を見つけてしまった。それは、ある男が握手をしている写真だった。ちなみに、その男は決して握手をしないことで有名だった。だから、僕は腰を抜かすほど驚いたのだ。
その男は、フリーランスである。しかも、かなりの技術の持ち主である。いや、世界一の技術の持ち主と言ってもいいだろう。フリーライターの僕からみても、彼はフリーランスの鏡である。はっきり言って、あこがれの人である。
まず、彼がフリーランスとしていかに素晴らしい腕なのかをいくつか紹介しておきたい。
まず、第1に仕事の成功率がほぼ100%に近い数字を誇っていること。しかも、その全てがとてつもなく困難な仕事で、彼以外に成功できる可能性を持った人を私は知らない。私が知る限り、彼が失敗した仕事のケースは一度だけである。
そして、第2に、時間や約束事をしっかり守っていること。彼が遅刻したとこを私はまだ見たことがない。待ち合わせ時間のかなり前に到着して、万全の準備を整えている。少なくとも30分以上、あるいは1時間以上前から待ち合わせ場所に到着しているようだ。何度か彼の待ち合わせ風景を見たことがあるが、彼がクライアントを待たせている場面を見たことはない。もちろん、仕事の締め切りもしっかり守れる男なのは言うまでもない。
そして、第3に下請けや外注への支払いもしっかりしていること。かといって、外注から見て彼が楽な顧客だというわけではない。時には技術的にかなり無茶な要望もするし、納期的に殺人的なスケジュールを提示することもしばしばである。それまで入っていた仕事をキャンセルせざるをえないほど、高度な技術とタイトな納期を提示するケースも多々あると聞いたことがある。しかし、彼はその分破格のギャラを用意している。彼から提示されるギャラに満足しなかったというケースを私は聞いたことがない。
そして、第4の理由は、私が彼を一番尊敬する部分のひとつである。きっと大部分のフリーランスの人間が悩み苦しんでいることを、彼はこともなげにクリアしているのだ。それは必ずギャラを前払いで要求し、ギャラが振り込まれたことを確認してから仕事にかかることである。彼が後払いで報酬を受け取ったということは聞いたことがないし、クライアントの信頼も絶大であるため、みな進んでギャラを彼の口座に前払いで振り込む。我々大部分のフリーライターがそうであるように、振込み後に仕事のギャラの総額を知るなどということは決してない。
そして、第5の理由は、彼がかなり長期間第一線で活躍していることである。私の記憶が確かなら、私が小学校に入学する前(24年前)から、その道のスペシャリストとして知られていた。もちろん、それから20年以上たった今でも、他者の追随を許していない。
そんなフリーランスの鏡のような男であるが、ひとつだけ私たちが真似をしてはいけない部分がある。それが、彼が決して他者と握手をしないことだ。何度も彼に仕事を発注するクライアントでさえ、彼と握手をしたことはない。もちろん、ささいな欠点だが、それ以外の部分が完全無欠であるだけに、余計に気にかかるのだ。
長いので次回に続く、誰かわかりましたか?
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【4月2日】
京都の背脂チャッチャラーメンに異議を申し立てる。その2
で、まずはなぜ背脂チャッチャに異議を唱えるかというと、それは正確には「背脂チャッチャ」という表現が間違っているからです。なぜ間違っているかというと、それは実際に背脂を落とし込む作業の様子を見ればわかります。
背脂をすくいとり、平ザルの上で上下にコンパクトかつ激しくチャッ振るのが「背脂チャッチャ」の語源ですが、よくよく見てみると、ラーメン鉢の上で上下に振る回数は1回のみなのです。つまり、「背脂チャッチャ」ではなく「背脂チャッ」と表現するのが適当なのです。みなさん、よく注意してください。これからは「背脂チャッチャ系」ではなく正確に「背脂チャッ系」と表現してください。
ただ、例外もあります。それは注文が続き、一気に「背脂チャッ」の行為をするときです。6鉢目ぐらいになると、平ザルの上の背脂の量が少なくなり、必然的に1回のチャッでは背脂の量が少なく2回振ることがあるのです。そのときのみ「背脂チャッチャ」と表現するのが正しい呼び方になります。なので、みなさん背脂チャッ系ラーメンを食べる時は、自分の鉢が何番目で何回チャを振ったかをよく確認しておいてください。そして、店員さんが自分のラーメン鉢に2回背脂を振ったときのみ、「背脂チャッチャ系ラーメン」と呼んでよいのです。
で、そこで疑問がわきあがると思います。「背脂チャッ」のどこが、
『そして、私たちが「背脂チャッチャ」「背脂醤油系」と安易に呼んでいたラーメンが、実はその言葉だけでは区切りきれないほど奥が深いものだったことを思い知ることになったのです。』
と書くには大袈裟すぎるのではないかということです。
もちろん、そんな簡単な話ではありません。これから、「背脂チャッ」の真相に話を進めたいと思います。
続きは、コチラのblogで更新していきます。
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【3月2日】
京都の背脂チャッチャラーメンに異議を申し立てる。
今日は、ハウスメーカーの話はおいといて京都の背脂チャッチャラーメンについて語りたいと思います。
「背脂チャッチャ系」と言われる豚の背脂(ラード)の粒がスープに浮いたラーメンのことを、いくつかある京都ラーメンのスタンダードのひとつとしてあげる場合が多いです。確かに、豚の背脂を乗せているラーメンは数多くあります。背脂チャッチャの元祖[ますたに]や、その弟子の[ほそかわ]は言うに及ばず、多くの京都のラーメン屋さんが背脂をスープに振り掛けています。そしてそれらのラーメン屋を、「背脂チャッチャ系」あるいは「背脂醤油系」などと僕らは表現しています。
で、つい最近MeetsRegionalさんの仕事でラーメン屋を回っていて、あることに気付いたのです。それは、「背脂チャッチャ系」あるいは「背脂醤油系」とひとまとめに表現するのがいかに不適切かということなのです。
そう思いはじめた最初のきっかけは、一年前の同じくMeetsRegionalさんの仕事でラーメンの取材に回ったときのことでした。このときは、[ますたに]系列のラーメン屋さんを回る取材でした。で、最後に[ほそかわ]を取材している時にあることに気付いたのです。それは背脂チャッチャの仕方が、[ますたに]や[ラーメン純]など他の[ますたに]系列のラーメン屋でも違いがあるということでした。
気付いた違いを簡単に言うと、[ますたに]は醤油ダレ→背脂チャッチャ→スープ、という手順だったのに対して、[ほそかわ]は醤油ダレ→スープ→背脂チャッチャという手順だったのです。
なんだそれだけかよと思ったかもしれないですが、実はこれが大変重要なプロセスだと知ったのは今回の取材が終わってからでした。そして、私たちが「背脂チャッチャ」「背脂醤油系」と安易に呼んでいたラーメンが、実はその言葉だけでは区切りきれないほど奥が深いものだったことを思い知ることになったのです。
(長いので次に続く)
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【2月3日】
ハウスメーカーの泣き言
【よくわからないお客さん その3】
とにかく、すごいクレーマーでした。伝説のクレームのお客さんです。
仮に名前をAさんとしましょう。Aさんは、コンピューター関連の仕事をしているのですが、かなりの潔癖症の人です。何度も引越しを繰り返して、少しでも家が汚れるとどこかに移るのです。それもアパートではなく、マンションや新築。 契約する前は、新興住宅地の、隅の土地に家を建てて住んでいました。何で、隅っこの土地を選んだかというと、近所付き合いが嫌いだからです。
普通のお客さんの数十倍労力を使いました。設計も営業も工事監督も、それぞれ数人で対処してクレーム発生に尽力しました。
私は担当ではありませんでしたが、先輩の設計マンは何日も徹夜していました。そして、案の定、クレームが発生しました。
たまたま、そのクレームの電話は私が取りました。
「○×(社長の苗字)、いますか?」
とても、丁寧な女性の声で社長の名前を呼びました。私は、てっきり社長の奥さんだと思い、
「はい、今うちあわせ中です」
と元気に答えました。すると、急に声を落として、
「Aですけど! 今すぐ○×を呼べ!」
と怒鳴りだしたのです。
怖かったですね。とりあえず、すぐに社長を呼ぶと、社長は電話口で、Aさんと大喧嘩をはじめました。
「あんたの言ってることは非常識やってわからへんのか!」
そう言って、社長は電話を叩きつけました。
もちろん、すぐに電話がかかってきます。しかし、誰も取ろうとはしません。仕方ないので、私が取ると、
「今すぐ、○×をここまで連れて来い! 30分だけ待ってやる」
と言って、電話を切りました。
それから、また社長とAさんの大喧嘩がはじまりました。
最後は、社長も覚悟を決めたようです。
「○×さんが、『家持って帰れ』と言われたら、言葉どおりに持って帰ることに決めたので、みんなもそのつもりでいるように」
と朝礼で全員に、自分の決意を発表しました。幸か不幸か、そのお客さんはその言葉だけは口にしなかったらしく、5年ぐらいたった現在でも小さなクレームを○×さんは生み出し続けているとのことです。
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【1月6日】
前回に引き続いて、胡散臭いお客さんの話です。今回はハウスメーカーなら誰もが経験する「先生」がらみの困った話です。
【よくわからないお客さん その2】
ハウスメーカーでは、「先生に気をつけろ」とよく言われます。先生と呼ばれる職業の人には、細かい人が多く、いつも手を焼くからです。教師、弁護士、医者、政治家などは要注意のお客です。営業マンによっては、ヤクザよりたちが悪いと言う人もいます。
ある小学校教師の家を建てた時でした。隣地と建物の間が狭い土地で、普通ならけっこう集中力のいる現場でした。けれど、今回の隣地は、お客さんの親ということで少し油断してしまいました。
勝手口のステップが、数センチ、隣地に入ってしまったのです。まあ、けど、隣地は、親だし許してくれるだろう。そう思って、まずお隣に話をすると、すんなりオーケーが出ました。
次に、お客様に報告すると、思いかけない答えが、
「絶対、駄目、すぐ直して!」
ほんの数センチなのにな、けどお客さんが言うからなと思い、
「じゃあ、すぐに工事をします」
と言うと、
「駄目、工事せずに直して!」
とのこと。思わず頭が真っ白になりました。そのお客さんは、かなり頑固で、工事せずに直せの一点張りでした。
先輩の営業マンが言うには、
「小学校で子どもばかり相手にしてるから、子どものような理屈をこねるんだ」
とのことです。
こちらが「じゃあ、お金で解決しましょうか」という失言をしたため、かなりお客様を怒らせてしまいました。結局、三ヵ月後、上司が出て、「工事しましょう」の一言で解決しました。お金目当てのヤクザなら、一週間で解決するのですが、先生の場合はそうはいかないという典型です。
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【11月27日】
ハウスメーカーの泣き言
以前、ヤクザやヤカラに関することを書きました。金目当てで近づいてくる、胡散臭い人はハウスメーカの周りにはたくさんいました。
けれど、彼らは実は、それほど大変ではないのです。本当に大変なのは、一般のよくわからないお客さんでした。今回は、そんな困ったお客さんの話を紹介したいと思います。
【よくわからないお客さん その1】
たまに来るのは、冷やかしのお客さんです。ただの冷やかしならいいのですが、かなり手のこんだ冷やかしです。買う気満々で展示場へ来店して、営業マンと楽しげに話をしてくれます。関西に単身赴任、資産はある、いずれ家族を呼ぶので今から家を建てたい。完璧なお客様です。しかし、おかしなことが一点、住んでるアパートに電話がない。
営業マンは、手紙でアポイントを取りながら折衝を進めていきました。そして、契約の直前に、購入する土地もほぼ確定し、その土地に沿って間取りを決めました。
あとは、前金をもらって土地を購入するだけです。営業マンは、購入する予定の土地に、不動産業者や上司を呼んで、土地と家の契約をすることにしました。
当日、行ってみると、お客さんは現れません。電話もないので、連絡もつきません。もちろん、上司も不動産業者もカンカンです。
2時間待って、不動産業者は帰ってしまいました。その日の夜、訪ねると住所の場所には、確かに明かりが点いています。しかし、いくら呼び鈴を押しても出てきません。手紙でやり取りしていたので、間違いなくこの家い違いありません。あきらめて帰りかけた時、その家から電話の音が鳴ったそうです。結局、その営業マンは、お客と連絡をつけることができず、契約は流れてしまいました。
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【11月1日】
京都みやげを買う前に
いよいよ本日発売です、『京都みやげを買う前に』。豆腐、お酒、漬物、納豆、寿司などお土産もんをたくさん取り上げています。お土産ナンにしようかなって思った人はどうぞ。
先週の金曜、土曜に先行して、丸善さんジュンク堂さんで、キャンペーン発売をしました。本屋さんの前で怪しい団体が真っ白い本をたくさん並べて売っているのを見た人もいるのではと思います。
雨の中にもかかわらず、たくさんの方に本を手にとってもらい、しかも買ってもらいありがとうございました。
ほんで、今回はキャンペーンの時の印象的だったお客さんの話。あるおばちゃんが『京都みやげを買う前に』を興味深そうに眺めてました。それをすかさず僕が、「おばちゃん、漬物とか鯖寿司の京都にしかないモノの面白い話がイッパイ載ってるんですよ」って言ったら、「私そんな本大好きやわ。けど、あなた何で京都に、漬物とか鯖寿司とか塩気のある食べ物が発達したか知ってる?」といきなりの質問です。ほんで、僕が答える間もなく、「それはね、京都は内陸部で海がないでしょ。だから塩が不足しがちなのと、京都の夏は暑いでしょ。だから、たくさんの塩を取る必要があったのよ」とドンドン説明しだしました。そして最後に、「わかった、勉強になったやろ」って言って、スタスタってどっかに行ってしまいました。
そんな、京都のことについて興味津々な人にこそ買ってほしかったんですけど、ちょっと残念です。けれど、キャンペーンで短い時間ですが、街頭に立たせてもらった感想としては、さっきのおばちゃんのように、みんな京都のことをもっとよく知りたいということを感じていました。
そんな京都のことが知りたくて知りたくて仕方がないという人にこそ、買ってほしい本です。おのぞみドットコムのページから立ち読みもできますので、ぜひぜひ。
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【10月7日】
ハウスメーカーの泣き言 その12
以前に、ハウスメーカーの営業活動は恋愛に似ていると書きましたが、同じようにお客様が契約までに至るまでのプロセスは結婚までの過程と似ています。今回は営業マンがお客様と知り合った以降の営業活動を、結婚までに例えて紹介したいと思います。
まず、展示場に来店します。以前にも書きましたが、展示場来店は恋愛でいうところのコンパにあたります。まだ知り合っただけの関係で、つきあうほどではありません。
来店されたお客様がアンケートに記入すると、コンパで電話番号やメールアドレスをゲットしたことと同じ意味があります。こうして、はじめて次のアプローチがかけられるのです。
次に営業マンが、お客様が残したアンケートをもとにアプローチをかけます。「来店ありがとうございました」と電話したり、直接家まで行って、「近くをたまたま通りかかったもので」といってパンフレットを渡したり世間話をします。(ちなみに、これはたまたまではなく、きちんと計画したものです)こうやって、お客様と仲良くしておくのです。今でいえばメール交換や電話にあたるでしょか。私のいた会社ではお客様がアンケートに記入したら、48時間以内に訪問することが営業マンに義務づけていました。
そうして、お客様と仲がよくなると、次の段階に入ります。それは、お客様を完成邸の見学に連れていったり、色んな展示場を見学したりして、自分達のメーカーの印象度をアップさせるのです。
これはデートと同じです。映画や遊園地に誘う代わりに、展示場に誘うのです。
さらに仲がよくなると家のプランを作成し、お客様と交渉します。ここまでくれば、かなりの有望物件です。これはぶっちゃけて言うと、セックスです。お客様とのプラン打ち合わせは、時には真夜中まで続き、別の意味で「一夜をともにする」営業マンもいます。ただ、最近のお客様は浮気性ですので、何人かの男性(他社営業マン)とつきあっているのがほとんどです。このひと一本というのは、滅多にいません。
そういうお客様には、競合排除という折衝を行います。要は、「私のとこは、こんなにすごいメーカーですよ」「あっちは、こんなにずさんなメーカーですよ」とさりげなくアピールします。時には、値下げやオプションを無料で追加したりするなどのプレゼント攻撃も行います。
そして契約が結婚です。しかし、実社会では結婚がゴールではないように、ハウスメーカーの世界も契約してからが大変です。契約前に、お客様にいい顔ばかりしてた営業マンなど、契約後に本格的に設計がプランをチェックすると全然実現不可能だったということも時々あります。まさに、「こんなはずじゃなかったのに」というパターンです。
なかには契約後にお客様の母親が出てきて「もっと昔ながらの家がいい」と駄目だしするなど、嫁姑問題も勃発します。結婚も契約もしてからの方が大変なのは、同じです。そうならないためにも、契約前によく考えることが大切です。
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【9月10日】
ハウスメーカーの泣き言 その11
最後に、「紹介」と「出会い系」を紹介したいと思います。
「紹介」は、その名の通り「紹介」です。誰かいい人いない、となって、「○○ハウスの××さんって感じよかったよ」となるわけです。他にも業者さんからの知り合い、社員の親戚なども含みます。もっとも楽な契約方法です。この比率を増やすように、現在各メーカーが頭をひねっています。
最後に「出会い系」は、最近出てきた営業方法です。これは、インターネットで家を販売するというものです。プランを数パターン用意して、ホームページにアクセスしてきたお客さんに家を売るのです。こちらの利点は、折衝費用がほとんどかからないということです。契約する時に、最終的な細部の決定などを含めて、初めてお客さんと会います。会うまで顔や性格がわからないという点、さらにインターネットを利用している点では、現実の世界の出会い系とかなり共通点が多いと思います
。あえて違うところをあげると、現実の出会い系は恋愛のメジャーな手段になっていますが、まだハウスメーカーではこの販売方法はメジャーな手段になっていないことです。(少なくとも、私が会社にいる間はそうでした)何より、営業マン自身がこの方法でアクセスしてくるお客さんを信用しきれないところがあるのです。一生の買い物と言われる大事な家を、インターネットで気軽に買おうとする行為には理解に苦しむ、というのが営業マンの正直な感想です。出会い系で契約が決まりそうになると、「一体、どんな奇妙なお客さんなんだろう」と言って、戦々恐々している営業マンの姿を何度か見ました。
悲しいことですが、実際の恋愛でも、ハウスメーカーの営業でも、「いい人なんだけど……」と言われて断られることが圧倒的に多いのが事実です。
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【8月12日】
ハウスメーカーの泣き言 その10
引き続き、女性をひっかけるのと同じ仕組みである営業活動の事例を紹介したいと思います。前回は合コンでしたので、今回は「テレクラ」と「ナンパ」です。
「来店者リストからのTEL」は、ある程度時間がすぎたお客さんに電話することです。すでに他のメーカーに契約していたり、あまり乗り気でなかった りします。もしくは時間がすぎたため、状況が変わったときもあります。ほとんど成果はあがりません。リストのなかには名前だけで、電話番号がないものもあります。
土曜、日曜日になると営業マンが一日何件もTELしています。会話が一分もつケースは少ないです。これは「テレクラ」にあたります。営業マンには失礼な言い方ですが、電話してすぐ切られて、また電話して切られて、頭かかえて、また電話して……、という姿は確かにテレクラを想像させます。
「飛び込み」は、よく新人営業マンがやるもので、見ず知らずの家へ飛び込んで「家どうですか」とやるやつです。これはズバリ「ナンパ」です。上の二つと違い明らかに何の手がかりもない方法だからです。成功する確率はゼロに近いです。会社によっては飛び込みで一件契約とるまで、他の3つのアプローチを禁止しているとこもあるらしいです。
ベテラン営業マンは、他社の営業マンを尾行し、折衝中の物件に飛び込みを装って接触し、有望物件を横取りするという強者もいたらしいです。
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【7月22日】
今回は、ハウスメーカーの営業活動を簡単に紹介したいと思います。家は一生に一度の買い物です。お客様は、慎重すぎるぐらいにメーカーや工務店を選びます。逆に、それを売る側であるハウスメーカーは、どういう活動をしているのでしょうか?後輩の営業マンが言っていましたが、「営業活動は女性をひっかけるのと同じ仕組み」らしいです。大まかに契約の取れる方法は5種類あります。
展示場にきたお客さんを接客し契約する「展示場来店」過去に展示場にきたお客さんに電話し契約する「来店者リストからのTEL」全く知らない人の家を訪問し契約する「飛び込み」以前家を建てた人の紹介で契約する「紹介」さらに最近出てきた「インターネット」です。
なぜ、女性をひっかけるのと同じかというと。5つのプロセスが、彼女を作るための方法と似ているからです。それぞれ、上げた順に、「合コン」「テレクラ」「ナンパ」「紹介」「出会い系」となります。
まず最初に、「展示場来店」から説明したいと思います。これは、展示場やショールームにお客さんがそろそろ家でも建てようかなと、訪問してくることです。最初から、家を買うつもりで来ています。買うつもりはなくても、何かしら家作りに興味は持っています。お客さんと営業マンの目的が、最も一致している方法です。これは女性をひっかけるので言えば「合コン」にあたります。合コンに来ているメンバーは基本はみんな恋人なしで、それを探すのが目的だからです。
展示場での駆け引きもまさに、合コンです。営業マンは、お客さんの趣味や年収、家族構成、予算を必死に聞き出し、場を盛り上げ印象度をアップさせようとします。一方、お客さんは展示場に入ってみたもの、思っていたより感じがよくなかったり、その前に入った展示場の方が、印象がよかったりした場合は何とか早く出ようとします。最後に、次回訪問のアポイントを取れるかどうかが、大きな勝負の分かれ目です。これも電話番号を聞けるかどうかが大事な合コンと似ています。
今回はここまで、次回は「テレクラ」と「ナンパ」を紹介します。
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【6月28日】
ハウスメーカーの泣き言 その8
ハウスメーカーで設計していると、「自分で家を建てられるんですね?」とよく聞かれます。しかし、その時私達は戸惑ってしまいます。なぜかというと、ハウスメーカーの設計というのは、「ファミレスの料理と同じ」だからです。ファミリーレストランの料理というのは、本部から送られてきた食材に、加熱などの簡単な調理をして出せるようになっているといいます。決してフランス料理などのように、食材から自分で手配して、それを一つずつ切ったり焼いたり煮たりと手を加えて、盛りつけをするということはないです。
ハウスメーカーの設計もこれと同じです。大手メーカーは、大規模な研究所を持ち。そこで、家の設計や仕様の開発をすべてやっています。使用する部品や、工法をマニュアル化して、営業所の設計士が手間かかけずに設計できるようにしています。家の強さもそのマニュアルの指示通りすれば、構造計算をしなくても阪神大震災並の地震には耐えられるようになっています。ファミレスでいえば、加熱して皿に移すだけの手間で、味も衛生面もクリアできるようになっているのと同じです。
ですので、「自分で家を建てられるんですね?」と聞かれると困ってしまいます。つまり、自分のメーカーの工法でなら設計はできるのですが、実際の一般建築では難しいでしょう。できないことはないですが、かなり時間や手間がかかります。
しかし、最近は研究所の仕様だけでは、お客さんのニーズに応えられなくなってきました。不景気のため、競合が激化したためでもあります。確かに、ハウスメーカーの設計は「ファミレスの料理と同じ」なのですが、フランス料理並の特殊な設計も必要とされてきています。私が会社を辞めるときには、「本当にこれは俺たちの会社の住宅か?」と絶句してしまうような、プランが多くありました。そういう邸は大変です。毎日、午前様で設計しないと追いつきません。これが続くと間違いなく体を壊します。しかし、その反面やり甲斐もあります。正直、普段の設計はルーティンワークに近く、面白みがありません。特殊なプランを毎日夜遅くまで設計し、お客さんに喜んでもらった時の充実感はたまらないものがあります。
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【6月6日】
真心のヤカラ対策
「ヤカラは、まだお金を払ってしまえばいいのですが、本職のヤクザだと個人では払いきれません。そういう時は、ヤクザ専門の職人さんの出番になります。
もちろん、彼らもふだんはれっきとした社会人。しかし、土建業だけあって、そのスジの人にも顔がきくのです。
そんな中でも、Aさんは特にヤクザ対策に定評がありました。
まず、何といってもAさんは、顔が怖いのです。現場がわからず、通りがかりのオバアチャンに道を聞くと、そのオバアチャンが立ったまま寝たふりしてしまうほど怖いのです。
しかも、体にある細工をしていました。Aさんは、ヤクザの事務所に乗り込む時、精一杯の笑顔と菓子折りを持って行きます。そして、菓子折りを皇帝に差し出す従者のように両の手の平に置いて渡すのです。
相手もヤクザですから、顔が怖い程度ではビビリません。逆に、「アホ、お前そんなんですむか! 誠意見せんか、誠意!!」と脅されるぐらいです。しかし、Aさんは神妙な顔を貫き通し、ヤクザが受け取るまで下手に出続けます。ヤクザが仕方なく、菓子折りを受け取ると、その細工が始まります。
Aさんは、ヤクザが菓子折りを持った瞬間、手を裏返します。ヤクザが何気なく、菓子折りを自分の手元に持ってくると、Aさんの両手の甲が見えるのです。そして、両手の甲にそれぞれ、
「まごころ」
「せいい」
という平仮名の刺青が、深々と彫りこまれているのです。
そして、オバチャンを狸寝入りさせた顔を近づけ、「このへんで勘弁してくれへんか?」とすごむのです。刺青を見慣れたヤクザもさすがに、これにはビビルそうです。
以前、Aさんにヤカラ対策のコツを聞いたことがあります。すると、Aさんは右手の甲を指さして、「お金の問題じゃないんです。真心ですわ、マ・ゴ・コ・ロ!」とすごい笑顔で教えてくれました。
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【5月15日】
前回は、ちょっとお休みしてボクシングの魅力について書きましたが、今回は前々回に引き続き、ハウスメーカーにまとわりつくヤカラの事例を紹介したいと思います。とにかくハウスメーカーの現場にはヤカラがいっぱいです。前回のように、札や絵を売りつけるのは、まだ芸があるだけ許せるほうかもしれません。
【とりあえず働く】(名称不明)
「いやぁ、どうもどうも、久しぶり♪」
またしても、工事現場での出来事でした。そのオッサンは、職人と楽しげに話しながら近づいてきました。この日は、土嚢を移動させている最中、私も手持無沙汰で手伝っていました。
「兄ちゃん、大変そうやな。わしも手伝うわ」
オッサンは有無を言わさず、土嚢を運びはじめました。てっきり職人と話していたので、またしても
「なんだ、職人さんの友達か」
と思っていました。 一時間ほどして、作業が終わりました。
「ありがとうございます」
私が、そう言うと、
「兄ちゃん、何ぼや?」
「え?」
「金いくら出すって聞いとんのじゃ! 働いたら銭払うんがスジちゃうんか!!」
今までの笑顔が信じられない形相で怒りだしました。 後から聞くと、職人さんの友達でも何でもなく、職人さんも私の知り合いだと思っていたそうです。実際、現場では人の出入りが多く、誰の知り合いかなど一々詮索していられないのが現状です。
今度も、泣く泣く1万円払いました。
お金で済めばいいほうで、中には有無を言わさず財布ごと奪われるケースもあるようです。私の知っている人は、ヤカラ対策に1万円だけ入れたダミー用の財布を用意していたそうです。なんだか、カツアゲにびびっている中学生みたいですね。
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【4月19日】
「麻薬のようなボクシングの魅力」
『京都ボクシング道』の取材をさせてもらった木下です。僕がボクシングに興味を持ったきっかけは、プロボクサーになった友人の影響です。今回は、今までのコラムはお休みにして、プロボクサーになった僕の友人の話を書きたいと思います。
僕とその友人とは古くからの幼馴染です。小学校1年生から6年生までずっと一緒のクラスでした。よくチャンバラや鬼ごっこで、未熟な技を競いあったものです。中学校から、僕は地元の公立校、彼は私立進学校へ進んだため遊ぶ機会は少なくなりましたが、お互いバレーボール部に所属したこともあって、よく練習試合や公式戦で顔を会わせていました。高校になっても学校は違っていましたが、同じ県内のバレーボール部同士で顔を会わせていました。けれど、高校のころは僕は補欠で、彼はレギュラーと、子供の時のように勝負する機会がめっきり減ってしまいました。
そして大学生になると、そういう機会は全くなくなりました。高校で散々しごかれたのに、全く結果を残せなかった僕は、スポーツ自体が嫌いになって部活にもサークルにも入らずダラダラと学生生活を過ごしていました。一方、友人は国立大学の医学部に合格しボクシング部へ入部しました。てっきりバレーボールを続けると思っていた僕は、彼の選択に少しビックリしました。
彼の選択が不思議だった私は、よく友人にボクシングの魅力は何かと聞いたことがあります。けれど、友人もどうそれを表現したらいいか、わからないようでした。「ボクシングって麻薬みたいやねん。一回やったら辞めらへんねん」と身を乗り出して説明していた姿が印象的でした。
友人は、そのころはプロボクサーになるつもりはなかったようです。医学部に在籍する彼にすれば、医者になれば社会的成功を手にすることができるから当然でしょう。けれど、世界タイトルマッチを一緒にテレビ観戦した時、友人はふとこんなことを漏らしました。「プロの四回戦レベルやったら、勝つ自信はあるねんけどな」何気ない一言でしたが、本心では医者になるのではなく、卒業後もボクシングを続けたがっていることがわかりました。
僕の方は張りのない大学生活を無難に終え、就職しました。そのころになると、何かスポーツをしたいという思いで一杯でした。高校の時のように補欠でもいいから、スポーツで真剣勝負をしたくてしかたなかったのです。そこで、当時興味を持っていたタッチフットボールという少人数制アメリカンフットボールのチームを高校時代の友人と一緒に作りました。けれど、素人集団のため連戦連敗、真剣勝負とは程遠い内容でした。
そのころ医学部の6回生だった友人も挫折を味わっていました。国体出場を有終の美として、医者の道を進むつもりでいた友人でしたが、2年続けて予選決勝戦で僅差の判定負けを喫したのです。そして、6回生の秋、友人は医者ではなく、プロボクサーになることを決意しました。
もちろん、彼のデビュー戦は、応援のため会場まで足を運びました。けれど、複雑な気分です。なぜか心の底から応援できないシコリのようなものがありました。自分とは違う世界に行ってしまった幼馴染に対する、嫉妬があったのかもしれません。けれど、僕のそんなちっぽけな思いは、友人がリングの上でとったある行動で綺麗に吹き飛んでしまいました。
デビュー戦の相手は、西日本新人王ファイナリストにもなった強敵。慣れないプロのリングのせいか、友人は序盤リズムを掴めないでいました。そして、相手の強烈なパンチをさばききれず、彼は背中を見せて逃げ出したのです。唖然とする場内、張り詰めていた会場の空気が一瞬だけ緩みました。追いかけても無駄と見た、相手もファイティングポーズをとったままその場で立ち止まりました。
その時、友人は信じられない行動を取ったのです。向き直り、両腕をダラリと下げ、マウスピースをみせて相手に笑いかけたのです。ファイティングポーズを崩さないことで、相手もその笑いに応えました。そして、友人は、ノーガードのまま無造作に間合いを詰めました。次の瞬間、二人の壮絶な打ち合いが始まりました。
僕のちっぽけな思いは、リングの上で笑い殴りあう友人を見た瞬間どっかに消えてしまいました。友人は、間違いなくプロのボクサーだったのです。
そしてデビュー戦の結果は、判定にもつれこみドロー。勝てはしなかったものの強敵と引き分けた友人は、その後順調に勝ち進み日本タイトルに挑戦できるA級ライセンスを取得しました。しかし、A級に上ってからはプロの厚い壁に跳ね返され2戦して2KO負け。とうとう昨年10月の試合を最後に引退しました。それから、しばらくは僕自身もボクシングを観戦することはありませんでした。けれど、友人のデビュー戦のときの姿が頭から離れません。リングの上で笑う友人は、自分が背中を見せて逃げなくてはいけないほど強い相手と真剣勝負をできることを喜んでいるように見えました。
そして、今回『LIVEBOXING 2004 IN 京都』というプロボクシングの大会が京都で開かれることを知りました。友人や多くのボクサーを魅了するプロボクシングの「麻薬」のような魅力を、『京都ボクシング道』の企画を通じて確かめてみたいと思います。
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【3月30日】
ハウスメーカーの裏話 5
ハウスメーカーが現場で工事をしていると、色々なところからクレームがあります。中には、金目当ての"ヤカラ"も少なくありません。ヤクザまがいの信じられない方法で、難癖をつけお金を巻き上げようとします。今回は、ヤカラの事例を紹介したいと思います。
【札屋 絵屋】
ある日の工事中、「いやぁ、どうもどうも、久しぶり♪」職人と楽しげに話しながら、一人のオッサンがこっちにやってきました。「あれ?職人さんの友達かな?」そんな風に思っていると、私の所にやってきて、こう言いました。
「兄ちゃん、新築祈願のお札買ってくれへん?」そのオッサンが差し出したお札には、マジックペンで書かれたショボイ文字が並んでいました。何の霊験も効能もありません。やられたと思いました。私達は、彼らを札屋と呼んでいます。
しかし、これを買わずにいると、恐ろしいことが起ります。私の先輩の正義感豊かな工事監督は、これを突っぱねました。すると、次の日からコンクリートを流したての基礎に水をぶっかけられたり、できかけの家の窓を全部割られたり、部屋の真ん中にウンコがしてあったりと、次から次へと素敵なサービスが降りかかってきました。もちろん、そのオッサンがやったという確かな証拠はありませんので、やりたい放題です。お札の値段は2万円。泣く泣く払いました。
これと似たようなので、絵を売りつける絵屋というものもあります。ちなみに、私の先輩は、二万円でお札を買って、ヤカラのおっちゃんに三万円の領収書を書いてもらっていました。こうなると、どっちがヤカラかわかりません。
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【3月9日】
ハウスメーカーの裏話 4
ハウスメーカーはクレーム産業といわれるぐらい、クレームが多くあります。だから営業マンはクレームになりそうなお客は契約しない、あまり頑張って追いかけない傾向にあります。営業マンもなるだけ、クレームになりそうな景気のいいことは言いません。なるだけ、逃げ道のある言い方をします。
しかし、そんな営業マンの努力の甲斐なくクレームは生まれ続けています。私が見聞きした、「それはないだろう」というクレームを3件、紹介します。
その1
「うちはミリ単位で家を造っています」営業マンがそう契約前に説明しました。完成後、施主様から、「今通路の幅を測ったら図面より数ミリ狭い。ミリ単位で施工できていないので、家を持って帰れ」と本気で言われました。
その2
めでたく完成後、隣の人がやってきました。「ここの地域は、隣地から1m以上離さなあかんねんで。あんたらの家は50cmしか離れてないで」と言いました。調べると、法規制以外にも団地協定といってその地域独特の制約があることがわかりました。お隣さんに謝りに言っても、「建て直せ」の一点張りです。結局、つぶして造りなおしました。せめて建築中に言ってくれれば……。
その3
完成後、営業マンが訪問しました。「どうです、住み心地は?何か不具合などありませんか」すると、お客さんが、「玄関のところに、鏡があるでしょう。その鏡を見ると知らない女の人がいつも映ってるの。気持ち悪いから、何とかして」これは、どう対処したかは不明です。
お客さんが悪くても「そんなん聞いてない」と言われれば、こちらが悪いことになる世界でした。(もちろん、こちらに非があるときもあります)
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【2月25日】
ハウスメーカーの裏話 3
前回前々回に引き続き、私がやってしまった生涯最大の欠陥住宅の話を紹介します。
ハウスメーカーの設計や工事の作業は、ほとんどマニュアル化されています。窓の部分に「掃き出し窓」と書いておけば、文字だけで付ける窓の種類や高さや作業のやり方まで、自動的にわかるようになっています。その反面一字違いで、全く違うものができる危険性も合わせもっています。
今回紹介するミスは、そんなハウスメーカーならではの失敗ではないでしょうか。
私がいた会社では、アパートの設計もやっていました。アパートは住宅に比べれば作業が楽です。アパートは間取りがどの階も同じですので、1階を作ってしまえば、後は2階、3階、4階はコピーすればいいだけの場合が多いからです。しかもアパートなので、契約したお客様自身が住むわけではありません。ぶっちゃけて言うと、少しぐらい間違っても怒られないわけです。
その日もそんな感じで気楽に作業をしていました。
窓には「掃き出し窓」というのがあります。これは、庭やバルコニーに出入りできる窓のことです。当然、足元まで窓は広がっています。そのアパートにも当然、1階用の庭に出る掃き出し窓がありました。
私がやってしまった間違いは、1階の庭に出入りできる窓をそのまま2階にコピーしてしまったのです。
2階には見事にベランダはありません。 「うわー、見晴らしのいいベランダ!」 と言って、ガラララと窓の外に出ると、床がないという非常に危険なアパートを作ってしまいました。
お客さんから、 「この家、自殺するのに丁度いい窓があるんだけど」 と、ひきつった声で電話がかかってきました。 幸い、そのアパートは2階建てで、合計4世帯しかなく。すぐに2カ所の窓の部品を手配し、なんとかお客様に引き渡すまでには、交換工事を完了できました。
「○×ハウスさんしっかりしてるって聞いたけど、こんなミスもするんやね〜」 クレームになりにくいアパートのお客様からも、たっぷり嫌味を言われました。
できることなら、私がその窓から飛び降りたい気分でした。
以上、私がやってしまった欠陥住宅でした。 しかし、ここだけの話、欠陥のない住宅というのは存在しないと思います。資金面や敷地の形状などの問題で、使い勝手の悪い部分ができることはあります。(もちろん、紹介した私のミスは論外ですが)後はそれを、いかにハウスメーカー側が説明するかではないでしょうか?
その欠陥が、ビー玉を床に置くと転がるとか、基礎に入ると小学生の工作のような工事をしているのは問題外です。 |
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【2月6日】
ハウスメーカーの裏話 2
前回に引き続き、私がやってしまった欠陥住宅の例を紹介します。
なぜミスが起こるかというと、簡単に言うと仕事が忙しくてそこまで手が回らないからです。もしくは、手を回したつもりが全く回っていなかったのです。忙しさのあまり、そう錯覚してしまうのです。そうなる理由には、こちら側の責任もあれば、お客様が悪いのでは?といいたくなる場合もあります。もちろん、プロとしてお金をもらって仕事をしている以上、こちらの責任なのですが。
特に困るのは優柔不断なお客様です。やはり、そういう方に限って、失敗する場合やクレームになることが多いようです。今回紹介する欠陥住宅も優柔不断なお客様でした。
設計がお客様と会うのは「最終仕様確認」の場です。実際の工事へ入る直前の図面を前に、家の仕様など細部を確認します。これが終わると、業者さんに工事が発注され、工場へも部品作成のオーダーがかかります。これは設計が仕様を最後に「確認」する場であり、どっちにしようかと「選択」するためのものではありません。しかし、確認しているうちに、「前はこう言ってたけど、やっぱりこっちの方がいいな」というのは、出てきます。キッチンの扉の色を少し変えるなどの軽い変更が2,3点あるぐらいです。しかし、なかには、とんでもない量の変更を仰るお客さんもいます。
そのときのお客様も、そういう方でした。案の定、変更がたくさんありました。用意した打ち合わせ用の図面には、どんどん朱書きで変更箇所が増えていきます。LDKの間取りや、窓の位置まで変わる大変更です。明らかに、「確認」ではありません。終わったころには、図面は真っ赤かになっていました。「変更」と簡単に言いますが、予想していた業者への発注金額も変わりますし、用意していた他の図面も変更しなくてはいけません。図面を修正する時にもっとも恐ろしいことは、消してはいけないものまで消してしまうことです。これはよくあります。私がやってしまった間違いとは、床下収納の表記を消して、書き直すことを忘れてしまったことです。「漬け物を入れるはずだった、床下収納がないんですけど……」すでに住み始めていたお客様からの電話で、初めて気づきました。もちろん、すぐに直しました。
変更というのは、大変な労力を使います。下手をすれば一から図面を書き直した方がいいぐらいです。欠陥住宅をつかまされないための一つの対処法としては、土壇場で変更しないことです。
もちろん、どんなに大きな変更であれ、そういうふうに作ってしまうのはメーカー側の責任でもあります。
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【1月20日】
ハウスメーカーの裏話
一昔前、欠陥住宅をテーマにしたテレビが流行っていました。よく言われるように、家は一生に一度の買い物。ナーバスになる気持ちも確かによくわかります。
私自身、5年間、某ハウスメーカーに設計として勤務していましたが、お客様のわがままや近隣のクレームは凄まじいものがありました。 そんなハウスメーカーサイドの言い分をエッセイとして、面白おかしく紹介できればと思います。
欠陥住宅をテーマにしたテレビ番組や本が一時期、多く出ていました。なかには、家をつくるメーカーや業者を徹底的に悪者として扱っているものもあります。ハウスメーカーで設計をさせてもらった立場から言いますと、「そんな重箱の隅をつつくようなことを言わなくても」という内容もあります。なかには高性能の機械で100分の1のミスを見つけ、芸能人の家をムリヤリ「欠陥住宅」とダメ出しする番組もありました。
もちろん、私だって失敗がなかったわけではありません。実際、現場でお客様やお隣さん、監督、職人に怒られることも多々ありました。私が欠陥住宅を作ってしまったこともあります。
そこで最初は、自分を戒める意味でも、私のやってしまった欠陥住宅を紹介したいと思います。
●欠陥住宅 その1
まだ設計として未熟で、先輩のアシスタントをしていた時の話です。
敷地が狭いとき、まず削られるのがサニタリーやお風呂のスペースです。その家も土地が小さく、サニタリーは本当に窮屈そうでした。そこで気をつけなければいけないのは、部屋の入り口のドアや引き戸が納まるかどうかです。先輩の指定したサニタリーの引き戸の種類と部屋の大きさをチェックすると、建具が納まらないことに気づきました。これではいけないと思い、サイズの小さい引き戸に変更しました。
実はその引き戸のサイズは、わざと大きくしてあったのです。お客様お手持ちの洗濯機がジャンボサイズだったため、先輩は引き戸を現地で間取りいっぱいの大きさに加工するつもりだったのです。そして先輩も、その指示を私にも現場にもするのを忘れていました。
結局、お客様に引き渡してから欠陥が発覚し、再度その部分だけ工事をし直しました。この洗濯機が入らないというミスは、他にも多いようです。軽度の欠陥住宅の例として、テレビ番組にも挙げられていました。
「この失敗、やったことがある」
その時、なぜか家族に自慢してしまいました。もちろん、本当は恥ずかしいことなんだけど……
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