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おのぞみドットコム教授の扉>立命館大学 鶴岡真弓先生(1)
ユーロアジアの壮大な旅が人生 鶴岡 真弓
立命館大学の鶴岡真弓先生はケルト美術文化の研究に取り組んでいます。日本においてケルト文化を紹介した第一人者である先生。西洋美術の中でもとりわけ「ケルト」という、研究当初ほとんど知られていない文明の美術を研究しだした過程には、何があるのでしょうか?



Q、現在どういった研究をされていますか?

私が研究しているのは、ヨーロッパの基層文明のケルト(*1)についてです。日本には着物や寺社などにたくさんの文様がありますよね。一般的には、そういう文様というのは日本やアジア独自なものだ、と思われがちです。しかしケルト人というローマ帝国よりも昔の古代ヨーロッパを支配していた人たちの美術の中にも「渦巻」や「巴」などアジアや日本とよく似た文様があるんです。

そもそも文様とは、民族の自然観や時間感や死生観などを表すものです。普通ヨーロッパはキリスト教の文化、つまり明確な「真理は1つ」という考え方です。しかし、日本は色々な神々や仏教、神道が共存しているように様々な「複数の真理」が自然や宇宙のなかで働いている、という考え方なんです。

そして面白いことに、ケルトにも「複数の真理」が共存していたんです。ヨーロッパの懐深くにそういう「複数の真理」を許容する文化があった。ならば日本と共通した感覚を持つ「ケルト」を研究することで、日本を再評価できるんじゃないかな、とも思ったのです。

(※1)ケルト:古代ヨーロッパの先住民。現在のオーストリア、ドイツ、スイスなどのアルプス地方を起源に、ヨーロッパ全域を征圧したが後に衰退。文字をもたなかったために多くが謎に包まれており、「幻の文明」とよばれていたが、近年徐々に明らかになっていっている。ケルトの文化や言語などは現在、アイルランドやスコットランドなどに残る。


Q、「京都は日本的でありながら世界的」と言われますが、それはどういったところから言われるのだと思いますか?

今、立命館大学にあるアートリサーチセンターで「装飾芸術の世界性」というプロジェクトをおこなっています。そこでは、京都の祇園祭と亀岡の山鉾、滋賀県の山鉾のタペストリーにある文様を調査しています。

タペストリーっていうのは、朝鮮半島や中国、スベルギーなどから日本にもたらされたものなんです。祇園祭りは日本的なお祭りだけど、そこで使われる装飾は日本のものだけがあるというのは間違いですね。

ケルトと日本はユーラシア大陸の両端に位置します。その間を全部あわせてユーロ=アジアと言っています。私はそのユーロ=アジアの文化の日常やお祭で使われる織物が、京都の祇園祭に凝縮されてるのではないか、と考えて今考えています。

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【プロフィール】
鶴岡真弓
(つるおか まゆみ)
立命館大学文学部教授・美術史・ケルト芸術文化研究者。

早稲田大学大学院終了後、アイルランド・ダブリン大学トリニティー・カレッジ留学。
処女作『ケルト/装飾的思考』(筑摩書房)でわが国でのトータルな「ケルト」芸術・文化紹介の火付け役となる。(第一回倫雅美術奨励賞受賞)。『装飾する魂』や『装飾神話学』でヨーロッパ・日本を横断する「装飾」美術の比較文明論を展開。
NHK教育テレビ「人間大学」で「ケルトから日本へ」の装飾美術を講義。映画『地球交響曲 第1番』(龍村仁監督)でアイルランドの歌姫エンヤと共演。



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