京都精華大学のサコ先生は、マリ共和国の首都バマコで生まれ、高校を卒業後すぐに中国へ留学。1年間中国語を勉強した後大学に進み、そこで建築学を学んだそうです。その後来日し、京都大学大学院の工学研究科の修士課程、博士課程において、住宅計画の研究を行い、日本、アフリカのみならず、広い範囲で人間の住まい、住み方の研究を行ってきたそうです。住宅のデザインと生活様式が密接な関係にあることを各地で見てきたサコ先生。住宅にはその地域の文化、その家族の個性がよく表れていることが非常に興味深く、これを主な研究対象としています。
Q、どういった経緯で京都精華大学の教授になられたのでしょうか?また、現在研究されていることについて教えてください。
普通に就職ですねぇ。私が教育を受けたのがいわゆる日本の国立大学で、非常に上下関係がはっきりしている、教員と学生の立場がはっきりしているといった環境の中にいたので、自分の中でどうも物足りなさを感じていました。
先生と気楽にしゃべれない、気楽に接することができない。そして常に違う視点でものを見ているといった環境ではなくて、教員と学生とが普通の人間として接することのできるような環境にいたいと思い、この京都精華大学を選んだのです。
私は住宅計画を研究しています。住宅計画とはデザインの少し手前で、「どのような空間を作れば良いのか、そこに住む人にどのような居住環境提供すれば良いのか」といったことをリサーチし、それを実際の建物作りにいかしていくというようなことです。
Q、そうした住宅計画とは、建物そのものである家単位で捉えていくものなのでしょうか。それとも地域単位で捉えていくものなのでしょうか?
それは地域です。私が今、人文社会系に所属している意味も多分ここにあるのですが、建物を独立したものとして捉えるのではなく、やっぱり家とそのまわりに存在している地域の環境や共同体というものとの整合性をとり、それらの関係性の中で建物を捉えていくのです。まぁ、そういう意味で住宅計画は、建築に先立って必要不可欠なものだと思います。
住宅計画をどのようにして進めていくかというと、まずはフィールドワークから始まります。1つの例を言うと、独身寮を作る時には独身者はどのようなライフスタイルをしているかを知ることから始まります。簡単にいうと、ほとんどの人はコンピュータを持っていて、ほとんどの人がそれを生活の中で使っている。だから、空間の中にコンピュータを使うスペースであったり、DVDを見るスペースであったり…と、そこで生活をするであろう人のライフスタイルをある程度リサーチして、そこから読みとった傾向を設計に反映させていくんです。
また、家族構成であったり、その家族の将来のことであったりを予測し、一連のライフステージを住宅に活かしていくことも大切です。
私は住宅というよりも地域共同体に興味があって、地域共同体の視点から考えていくと、他の家との調和やその地域の自然や風土をうまいこと反映させていかなきゃいけないと考えるのです。例えばマリにある住宅と日本にある住宅とは全く違いますよね。だからこそ、そういう自然環境の読みとりがすごく重要になってくると思います。
環境共生、歴史、そして社会学をふくめて考えていったのが、私が建築計画に入っていったきっかけです。地域のバックグラウンドを理解した上で、新しいものを作っていくのです。建築家のエゴでそこの住人に建物を押しつけるのではなくて、居住者の生活を重視する。居住者が中心であって、建築家はその周縁であるべきなのです。でも、建築家が中心になって居住者がその周縁となっているような逆転がよくありますよね。本当は住む人が中心で、建築家の価値観やデザイン力がそれに付いてくるものであるはずなのに。建築家は、そこら辺の関係がやっぱりうまく読みとれていないのではないかと思いますね。
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